小くよ37 正しさより思いやりを選ぶ
相手の言動が間違っていると思った時、けなしたり、ただしたり、非をあげつらったりしたくなるものです。しかし、そこにはエゴがあります。「自分の正しさ」を主張したい誘惑をしりぞけて、思いやりを選ぶと人生に変化が訪れます。
2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画として『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。
37日目は「正しさより思いやりを選ぶ」
正しさより思いやりを選ぶ
12番目の戦略(たいていは相手が正しい/3月3日配信)でも取り上げたように、人を思いやることと自分の正しさを主張することの二者択一を迫られる機会はたくさんある。
人のまちがいを指摘し、ああするべきだったとか、こうすればもっとよくなると助言する機会はたくさんある。二人きり、または人の面前で相手のまちがいを「ただす」機会もたくさんある。それはつまり人の気分を悪くさせる機会、それによって自分の気分も悪くなる絶好のチャンスでもある。
私たちが相手をけなしたり、ただしたり、相手の非をあげつらったりする理由は、人のまちがいを指摘すれば自分の正しさが証明されていい気分になれる、という私たちのエゴからくるまちがった信念のせいだ。
しかし実際には、相手をけなしたあとの自分の気分に目を向ければ、前よりもっと落ち込んでいることに気づくだろう。人を犠牲にして気分がよくなれるはずはないと心のどこかでわかっているからだ。
幸いにも、逆もまた真なり──人を元気づけ、明るい気分にさせ、彼らの喜びを共有することを目標にすれば、自分もまた明るく積極的になれる。
こんどだれかをただす機会があったときは、その誘惑と戦うことだ。「この人とどんな人間関係を築きたいのか?」と自問することだ。結局は、気分よくなれる平和な人間関係を築きたいと、みんなが思っているのだから。「自分の正しさ」を主張する誘惑をしりぞけて思いやりを選べば、穏やかで平和な感情に満たされるのに気づくだろう。
最近、私は妻のクリスと仕事のアイデアについて話し合い、そのとおりにやってみたらとてもうまくいった。私は「ぼくのアイデア」がよかったから成功したんだと吹聴(ふいちょう)した。妻は、いつものように私の成功を心から喜んでくれた。
その午後遅く、そのアイデアを思いついたのは私ではなく彼女だったことを思い出した。しまった! 電話で謝ったとき、彼女が自分の手柄よりも私の喜びのほうを大切にしたことがわかった。「あなたが喜ぶのを見るのは楽しいし、だれが先に思いついたかなんてどうでもいいのよ」と彼女は言った(なぜ彼女が愛されるかおわかりでしょう?)。
この戦略を気弱な態度とごっちゃにしないでほしい。自分の正しさを主張するのはよくないと言っているのではない。ただ自分の正しさを主張するなら、代償がつきもの──ひきかえはあなたの心の平和──だということなのだ。
穏やかで落ち着いた人になるためには、ほとんどの場合、正しさより思いやりを優先させなければならない。
この練習を始める絶好のチャンスは、次にだれかと話すときだ。
<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。
【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)
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