顧客が隠す「8割の本音」を引き出せる人がやっている質問のコツ
ビジネスパーソンが身につけておきたい重要なスキルの一つに「質問力」があります。見落としている人もいるかもしれないですが、その奥は意外と深いのです。
『起業マインド100』より20日連続でお届け。
16日目は「『質問』がビジネスの成否を分ける」
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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家
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「質問」がビジネスの成否を分ける
起業家として成功するかどうかは、少なからず、適切な質問をする能力にかかっている。だが、この技術を体得する重要性を理解している人はあまりいない。質問の質によって運命が決まるのに、そのことを理解していない起業家やビジネスの専門家が何人もいるのではないだろうか。
起業家として身につけるリストの上位に、よい質問をする技術がどうして入らないのだろうか?
おそらく、どんな質問も同じだと思い込んでいるからだろうが、これはまるで違う。状況に応じて、よい質問と悪い質問がある。その違いを判断できれば、ビジネスにおいて競争上の優位に立てる。何がよくて何が悪い質問なのか、じっくり見てみよう。
よい質問と悪い質問
一般的に、悪い質問とは本質的な答えを引き出さないものだ。たとえば、新規の顧客からちょうど注文があったとしよう。
「請求書をお送りしましょうか?」
これはだめな質問だ。なぜなら答えが明らかなだけでなく、支払いプロセス全体を早めるのに役立つ詳細な情報抜きでも相手が簡単に答えられるからだ。潜在顧客はただこう答えるだろう。
「はい。お願いします」と。もちろん、さらに質問することもできる──「お支払いまでにどれぐらいかかりますか?」──が、これではいくぶん質問が目立ってしまうし、急かしているようにも見える。
この場合、適切な質問は「御社ではお支払いまでにどのようなお手続きがありますでしょうか?」となるだろう。
この質問をすれば、追加の質問をして相手に悪い印象を残さず、もっと詳細な答えが得られるだろう。
おそらくクライアントは回答の中で、「第三者機関から小切手を発行してもらう手続きがあるため、それには少なくとも1週間かかります」と明かすにちがいない。
このことがわかれば、5%割引できますのでクレジットカードでのお支払いはいかがですか、など支払い手続きを早めるための提案ができる。
ネガティブな反応の後の質問が大切
反対意見のあとに適切な質問をするときが、このスキルの役立つ最も重要な場面だろう。顧客は躊躇している本当の理由をめったに明かさないので、適切な質問をしてその理由を解き明かすのだ。たとえば、価格に関して同意を得られないときにはこうたずねよう。
「この投資に対してどのような効果を期待していますか?」
よい質問をして本当の理由を巧みに探り当てたら、顧客の不満に正面から対処できるので、説得できる可能性が上がる。同様に、この方法で顧客が反対意見を述べるのは起業家にスタートアップのアイデアを詳しく検討させたり改良させたりするのにも役立つ。
一般的に顧客はコストの高さを問題にする。いくつもの交渉の中で、私の提示する価格が高すぎると顧客が不満を言ってきた。だが、予算編成についてたずねてみると、コストが問題ではないとわかる場合もある。顧客がある期間内の予算を超過することは頻繁に起こる。
その場合、2期に分けて請求してもいいし、予算に余裕がある別の部署と共同でコストを負担することを提案してもいい。適切な質問を知っていれば、自社の製品やサービスを十分に活用できる。反対を受けて、だめな質問をするか質問をしなければ、高額な取引をふいにしてしまうかもしれない。
「イエス」「ノー」質問は避ける
選択回答式の質問もしないこと。これはシンプルに「はい」か「いいえ」で答えられてしまう。一般的に、自由回答形式の質問の方がシンプルに「はい」か「いいえ」で答えられる質問よりも優れている。
たとえば、潜在顧客に競合他社の製品やサービスに満足しているかどうかを質問するのではなく、それについて好きなところと嫌いなところを具体的にたずねるのだ。この情報は非常に価値があり、競合他社から市場を勝ち取るのに役立つ。
ポール・チェリーは著書『Questions That Sell(売れる質問)』でこう書いている。
「調査によると、通常、ビジネスで意思の疎通をはかる際、顧客は思っていることの20%しか明かさない。残りの80%を聞き出せるかどうかは、あなたにかかっている」
優秀な起業家は適切な質問をし、得られた回答をきわめて魅力的なビジネスの解決策に変えて、この残りの80%にたどり着く。販売だろうと製品開発だろうと、自らのスキルを向上させ続けるだけでなく、ビジネスを次のレベルに引き上げるすばらしい質問をする能力を身につけることを重視しよう。そうすれば、疑問の余地なく、すぐに改善が見られるだろう。
<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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