相手の決定権を見極める人と無駄にかかわる人の差
取引先企業の担当者と仕事の話をしていて、どうにもラチがあかないという経験をしたビジネスパーソンは少なくないかもしれません。その人に決定権がないのなら、やり方を変えたほうがいいでしょう。
『起業マインド100』より20日連続でお届け。
9日目は「決定権のない人にかかわって時間を無駄にするな」
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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家
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決定権のない人にかかわって時間を無駄にするな
実際は部下でしかないのに意思決定者のふりをする人とかかわるほど、ビジネスにおいて苛立つことはない。
この手の誤解を招くタイプをご存じだろう。彼らはあなたがクライアントにしたい会社で実際に働いていて、影響力のありそうな肩書きすらあるかもしれない。
だが、何かに対する権限はまったくないのだ。彼らが取引を提案できる珍しいケースもあるが、その場合はたくさんの承認を受け複雑な手続きを経なければならず、あとになってみると、この人物と強い関係を築くのはおそらく労力に見合っていない。
本当の意思決定者を見つける方が話は早かっただろう。ビジネスに携わる人は仕事をとるために、この手のペテン師に電話をかけ、食事をし、説得するのに膨大な時間を無駄にする。結果は、ただ努力が無駄だったとわかるだけだ。
結局のところ、買えない相手には売れないのだと思い知らされる。
意思決定者を聞き出す
この問題を解決するのは簡単ではないが、私は状況に効果的に対処する方法をひとつ発見した。さまざまな立場の人を通じて、苦労して意思決定者を探し求める中では、シンプルに、単刀直入にいくのがいい。
具体的にいうと、こちらの意思を伝えたら、「この件について最終決定をされるのはどなたでしょうか?」と相手の窓口をたずねる。
またこんなふうに表すこともできる。「この件について最終決定をするうえで、判断をされる他の方はどなたになりますか?」
ほとんどの場合、担当者はこの質問に対して同じように率直に答えてくれるだろう。このように質問することで、買えない相手に売ろうとする時間を劇的に短縮できる。
この質問は自由形式なので、単に「はい」か「いいえ」では答えられない。「はい」か「いいえ」で答えられる形式で質問をしてしまうと意味がない。この場合、自由形式でたずねることで、相手はこちらが効率的になるのに欠かせない情報を提供せざるをえないのだ。このタイプの質問には解釈や誤解の入り込む余地がほとんどない。実際、ビジネスでは、できるだけ頻繁に自由形式の質問をした方がいい。
かかわった人にも敬意を忘れない
この戦略をとるからといって、こちらと最終的な意思決定者とのあいだにいる人を軽んじたりひどい扱いをしたりしていいわけではない。秘書からCEOまで途中でかかわる人には最大限の敬意をもって接し、適切にふるまおう。意思決定者だけではなく影響力のある人にも、こちらの提案を受け入れてもらいたい。
顧客にしたい会社で働いている内部の人は意思決定者に対して影響力がある。こうした人たちが思った以上の影響を与えることも少なくない。目標は、内部からこちらのアイデアを売り込むために、彼らを自分たちのチームに引き入れることだ。
この方法を採用すると、些細だが大きな変化が起こり、すぐに私のビジネスに大きな影響があった。それは、すぐに販売の結果が出ることから、営業の際に投資家の食いつきがよくなることまでさまざまだ。
先に述べた質問をするようになったあと、思考が明快になった。自分のターゲットが誰なのかはっきりとわかったからだ。そのような不可欠な情報抜きでは、命中しますようにと祈りながら、目隠しをしてダーツを投げるようなものだ。成功するビジネスの手法としてありえない。このアプローチをとって、目隠しを外し、承諾を得る可能性を上げよう。
<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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