【大人気企画】実用書の「売れる表紙」を徹底調査!~BOOK TALK vol.5
Sunmark Web 「BOOK TALK」は、サンマーク出版のPR戦略室で働く新井俊晴と杉本耕亮が、「本の世界」で働く人たちの奮闘記をお届けする対談記事です!
前号では、書店さんの売り場を盛り上げる重要アイテム「POP」について考えてみました!本と一緒に置かれている「1枚の紙」が本の運命を左右するという事実に、あらためて気を引き締め直した2人です。
本の運命を変える!売れるPOP、売れないPOP
~BOOK TALK vol.4
はこちら!
さて、以前に特集しました「ビジネス書ベストセラー表紙の法則」ですが、「最近意識している!」「そう言われると白い本ばかり目に入る!」など、ほかの出版社の編集者さんや、書店さんから大きな反響をいただきました!
そのなかで特に多くいただいたのが、「ほかのジャンルでもやってほしい!」という声…。
そんなリクエストにお応えいたしまして、今回は「実用書」の「売れる表紙の法則」に迫りました!
それではBOOK TALKスタートです!
●今回は実用書の表紙を徹底調査!
新井俊晴
みなさん、こんにちは!「BOOK TALK」へようこそ!サンマーク出版PR戦略室、人呼んで”ひとり広告代理店”の新井です。
杉本耕亮
同じくPR戦略室、兼営業部、人呼んで”ハイブリッド営業マン”の杉本です!
新井 Sunmark Web「BOOK TALK」は、本の世界で働く人たちの奮闘記をお届けする対談です。書店さんや販売会社さん、著者さん、出版社のみなさん、そしてこれから出版業界を目指す方たちのお役に立てればうれしいです!
杉本 今回は、いままでで一番反響の大きかった「ベストセラー表紙の法則」について、高確率でベストセラーが生み出されるこのジャンルで考えてみることにしました。題して…
「売れる実用書の表紙に法則はあるの?」
です!
◎売れるビジネス書の表紙って?
杉本 新井さん、ちょっと見ていただきたいものが…!
新井 なになに?
杉本 実は、ある書店員さんがご自身の手帳の「あるページ」を見せてくださって。それがこちらです。
新井 これは…!BOOK TALK的 ベストセラー表紙の法則!!
杉本 はい!手帳に貼ってくださっていて…!
新井 ありがたいし、ちょっと恐れ多い…(笑) 「売れる表紙の法則」、本当にたくさんの方が読んでくださったのよね。
杉本 そうなんですよ!ぼくも書店さんですごい声をかけていただいて。みなさん、ありがとうございます!
新井 ありがとうございます!そんなビジネス書の「ベストセラー表紙の法則」、おさらいしておきましょうか。
BOOK TALK 的
ベストセラー表紙の条件
(ビジネス書)
*
①カバー色・・・白
②タイトル文字・・・黒
③文字の組み方・・・ヨコ
④タイトルの文字数・・・9文字以内
⑤写真・・・著名人以外は使用しない
⑥イラスト・・・うまく使う
杉本 これ、ぼくはもう完全に覚えました!ビジネス書コーナーにいると、つい文字数をカウントしている自分がいます(笑)
新井 もう職業病じゃん(笑) それで、こちらに完全合致したサンマーク出版の新刊もご紹介したんですよね。タイトルが『BIG THINGS』白い表紙に、黒文字の本です。この『BIG THINGS』がおかげさまで…
5万部を突破いたしました!!!
杉本 よかったー!!売れなかったらどうしようかとヒヤヒヤしてました(笑)
新井 「ぼくらのデータは信頼できる!」と自信を持てたところで、今回はご要望の多かった第2弾です!「実用書ベストセラーの表紙」を調べてみました!
◎ビジネスでは「売れない色」がベストセラーに!
杉本 ではさっそくデータをお見せしたくてウズウズしているんですけど、そのまえに「実用書」ってどんなものかをご紹介しておいた方がいいですかね!
新井 そうですね!「実用書」は「日常生活で役に立つ知識や技術を学ぶための本」って定義されています。これだと「フィクション以外のほとんどの本が実用書じゃん!」ってなってしまいそうなので、実用書のなかでも代表的な4つのジャンルをご紹介します。
•健康
•トレーニング/ダイエット
•趣味
•料理
杉本 仕事の話というよりも、普段の生活に密着しているジャンルですよね。それだけにお客さんも多くて、大きなベストセラーが生まれやすいジャンルでもあります。では、早速データいきますか!
新井 (データを披露したくてウズウズしてる!)
杉本 今回は2011年から13年分のベストセラーデータ(トーハンさん調べ)を集めて、分析しました!見てください。この量!
今回も「ビジネス書」のときと同様に、次の要素で表紙デザインを分解しています!
①表紙の色
②文字の色
③タイトルの文字数
④タイトルの組み方(タテかヨコ)
⑤著者写真の有無
⑥イラストの有無
新井 うんうん。これすごいわかりやすかったよ!じゃあまずは色から聞いてみよっかな…。いや、まって!当てるわ!
杉本 おっ!いいですよ。ぜひ読んでくださっている皆さんも予想しながらどうぞ!
新井 色は…やっぱり白じゃないかな…?白い実用書のベストセラー、よく見る気がする。
杉本 おっ!いいところつきますね!では、もういきなりグラフをお見せしちゃおうかな。こちらです!
ビジネス書同様に圧倒的に白!
110冊のうち65冊、59.1%が白です!
新井 白って本当に強いんだなぁ…。ビジネス書では「信頼感」が大事で白かなって思ってたんだけど、実用書だとなんだろう。「清潔感」とかかな?
杉本 そうですね!あとは健康書のベストセラーはやっぱり白が多くって、これはやっぱり「信頼感」だと思う。
新井 なるほど…。2位に料理画像ってあるのは、これも実用書ならではだね!
杉本 料理書で画像がないものはほぼなかったですね。やっぱり「これつくりたい!」「食べてみたい!」って思ってもらうことが重要なんでしょうね。
新井 うん。それはそうだ。意外なのは3位の黄色だね。これは意外。
杉本 そう!ビジネス書では、黄色でベストセラーリストに入っているのは1冊もなかったんですよね。だから「黄色い本は売れない」って話をしたんですけど、実用書はまったく違う結果!
新井 うんうん。4位のピンクとかも、ビジネス書では上がってこなかった色だよね。やっぱり実用書は、「明るい」イメージがたいせつになるのかなぁ。
杉本 こうなると文字の色はわかりやすくないですか?
新井 罠じゃなければ…。白い表紙には、やっぱり黒い文字がいちばん映える…?
杉本 ファイナルアンサー?
新井 (ふ、古いし、うざい…!)
杉本 じゃあグラフを見てもらいましょう。こちらです!
杉本 やっぱり黒が圧倒的ですね!
新井 当たった!
杉本 あと実用書では「差し色」を文字で使っていることが多くて、メインの文字色は黒なんだけど、一部を「ピンク」とか「水色」とかにしているものが多いです!
新井 あー!それイメージある!やっぱりビジネス書と比べると、色味が華やかな本が多いので、文字が何色かで構成されているものが多い気がするよね。
杉本 はい。これはジャンル特性と言えそうですね!
◎実用書のタイトルは10文字以上で伝わる!
新井 杉本くん、こうなってくるとさ。ここまでの傾向がビジネス書の法則とかなり似ているから、分けてやっている意味があまりないのでは…?
杉本 と、言いますと?
新井 きっと「タイトルは9文字以内」ってまた言うんだろうなって。
杉本 素晴らしい「フリ」ありがとうございます!たしかにビジネス書ではベストセラーの半数近くが9文字以内のタイトルでしたね。…文字数の前に、今回は組み方を先に発表しようかな。こちらです!
新井 おっ!ヨコが6割いかないんだ!タイトルの長い実用書って横組みのイメージがあるけど…。
杉本 意外とタテが多いですよね。特に「健康書」はタテ組みのものがほとんどです。
新井 とすると、やっぱり文字数は短い気がするなぁ。
杉本 では、文字数のグラフも見てみましょう!
新井 9文字以下がたった18%だと…!!!
杉本 そうなんです!編集者の皆さん、聞いてください!実用書は「タイトルを短くしなくていい」です!!!
新井 おおー!!!
杉本 一番多いのは10文字から19文字で56.4%。半分以上ですね!しかも20文字以上も25%ありますので、タイトルは長くていいということになります!
新井 これはどういうことだと思う?ビジネス書は短いタイトルじゃないと売れないのに、実用書は長いタイトルでも売れるとは…?
杉本 実用書のタイトルって「正確さ」が大事なんじゃないかなと思います。たとえば『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』(サンマーク出版・刊)は
「体幹リセットダイエット」
でもタイトルは成立しているんですけど、
『モデルが秘密にしたがる
体幹リセットダイエット』
にすることで、「モデルさんみたいになれる!」っていうゴールが明確になりますよね。
新井 なるほど。とすると社長の黒川さんがつくった、激長タイトルの『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』(サンマーク出版・刊)も
「開脚できるようになる方法」
でも成立しているけど、
『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』になると…
杉本 うん。一気に「自分ごと」になりますね!体がかたくて「開脚」なんて自分の人生と関係ないと思っていた人が、「え!オレでも?」ってなる!
新井 ビジネス書は、一瞬の勝負だから「短いタイトルが重要」だったのに、実用書はより正確さが求められるから「長いタイトルでいい」ってことだ。ジャンルで違うものだね…。勉強になる…!
杉本 それはきっとあれだよね。「長いラブレター」が必要なのか、「4文字のチャット」で伝わるのか。相手によって違うよってことかな。
新井 いや、意味わからないけど(笑)
◎実用書のプロ直伝!表紙で最重要なのはコレ!
杉本 さあ、これであとは著者写真とイラストっていうところなんですけど…。
新井 うんうん。いきましょう!
杉本 いや、これは今回外します!
新井 えっ!なぜ!
杉本 もっと重要な要素があると、実用書の「プロフェッショナル」に聞いてきました!
新井 おお!あの人…!?
杉本 そうです!この方です!
杉本 小元さんがおっしゃるには、写真・イラストどちらでもいいんだけど、実用書には「メインビジュアル」というものが必要だと。
新井 メインビジュアル?
杉本 そう!たとえば、いま売れている『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版・刊)だけど、
タイトルの横でポーズをとっている女性。この方が「メインビジュアル」になります。
新井 ほう…!この本の「内容を的確に表している」っていうことになるのかな?
杉本 そう!だから中身でたくさん写真を使うような、トレーニング本やダイエット本では、写真をメインビジュアルに使うべきだし、イラストで構成されているものなら、メインビジュアルをイラストにする…と。
新井 読者さんに、本を開く前に中身のイメージをつかんでもらうことが必要なのかな。
実用書って「写真がたくさんあるもの」「イラストがたくさんあるもの」「文字だけのもの」があるから、手に取る前からこの本がどれに当たるかわかる。もちろん、文字だけの本の場合には、内容を象徴するような写真とかイラストを使うのだろうけど。
杉本 そういうこと!なおかつ、このビジュアルが本のタイトルと強くリンクすれば、なおいいということですね。
新井 わかりやすい!ビジネス書よりも実用書のほうが、表紙でお客さんに伝える情報量が多いんだね。さっきの『やせる背骨しぼり』のメインビジュアルなんだけど、気づいたことをひとつ言っていい?
杉本 どうぞ!
新井 この表紙の女性の写真なんですけど、うっすら背骨のイラストを重ねているんですよ。これがすごいなと…。
これがなかったら「腰ひねり」かもしれないし、「腕のばし」かもしれない。でもこの背骨のイラストがあることで、このビジュアルは「背骨しぼり」になるんだ…って。
杉本 たしかに…!
新井 こういう細かい部分にこだわるのが「実用書のプロフェッショナル」なんだなぁ…。天才…。
◎完成!ベストセラー表紙の法則【実用書】
新井 実用書もおもしろかったー!だいぶジャンルで色が出ますね!
杉本 さっきまで「同じじゃん?」って言ってたくせに…。では、まとめます!
BOOK TALK 的
ベストセラー表紙の条件
【実用書編】
*
①カバー色・・・白or料理写真
②タイトル文字・・・黒or白
③文字の組み方・・・ヨコ
④タイトルの文字数・・・10文字以上
⑤写真・・・メインビジュアルとして使用
⑥イラスト・・・メインビジュアルとして使用
これでどうでしょう!
新井 すごい勉強になったー!で、どう?いまうちの新刊で合致するものある?
杉本 これがですね…。
新井 うんうん。
杉本 ないです!
新井 えっ!ないの!
杉本 だっていつもぴったりくるのがあったら、やらせみたいじゃないですか(笑) 本当にデータを分析してやっているので、今回はないです(笑) ……ただ合致はしないですけど、いまのサンマーク出版の売れ筋実用書2点は「白」と「黄色」ですので、期待感十分です!
新井 ほんとですね! 皆さま、白い『やせる背骨しぼり』と黄色い『糖質疲労』(ともにサンマーク出版・刊)をよろしくお願いします!
杉本 よろしくお願いします!
手のひらに、一冊のエネルギー。
サンマーク出版の新井と杉本がお送りいたしました!
BOOK TALK vol.3
「売れる本の表紙デザイン」に法則はあるのか?
はこちら!