「特定の人に頼る会社」と「仕組みで回せる会社」の決定的な差
「属人化」という言葉に対して、何らか身に覚えがあるビジネスパーソンは少なくないでしょう。会社や団体などの組織の特定業務について限られた、あるいは1人の担当者しか回せないような状態になっていることを指します。
これは組織として考えれば、何らかの手を打たなければならない状況ともいえます。
『起業マインド100』より20日連続でお届け。
18日目は「人ではなくシステムに頼る会社をつくれ」
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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家
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人ではなくシステムに頼る会社をつくれ
世界中の優秀な学生たちとともに大学入学を許可されたコンピューター・サイエンス専攻の学生として、私はすぐに自分のプログラミングのスキルが一番効率的ではないと気がついた。作業を終えることはできても、そのやり方は最も効率のよいものではなかった。
同級生が10行のコンピューター・プログラミング・コードでできることに、私は100行も書いていた。同級生のように効率よくすれば、プログラムも速くなるしファイルのサイズも小さくなる。
私はなんとかプログラミング・スキルを上達させた。テクノロジー関連の分野での成功は、効率的なシステムと方法を実行する能力によるところが大きいからだ。
システムで効率を上げる
作業効率を向上させるシステムの発案者の先駆けといえば、フォード・モーター・カンパニーの創設者ヘンリー・フォードだ。
フォードは、T型フォードを大量生産できるよう製造ラインのシステムを編み出した。1913年にフォードの製造ラインが導入される前は、少数の専門家チームが車をつくっていたため、時間がかかりすぎた。しかしフォードの方式だと、12時間以上かかっていた作業時間が2時間半に短縮された。フォードのイノベーションによって、一般家庭でも自家用車に手が届くようになり、多くの製造業で生産性が向上した。
フォードのシステムは生産性を飛躍的に向上させただけでなく、何でもできる便利屋の必要性をなくした。それどころか、製造ラインで働く従業員は専門化され、従業員の入れ替えも簡単になった。製造ライン導入前は、車の製造の大半を担っていた従業員が病気になると、生産性が下がり、手作業で車を製造するという労力のかかる工程は継続するのがきわめて難しくなっていた。
私は、自分の会社が人に頼りすぎてしまうようになって初めて、ビジネスにおけるシステムの構築と導入の大切さを思い知った。
たとえば、私が立ち上げたウェブサイトが大学で評判を呼ぶと、完全に私の手に委ねられているようでは、成長する事業は続かないと学んだ。それでは最終的に私が燃え尽きてしまい、増え続けるユーザーのニーズに応えられなくなるだろう。そして、もし私が何らかの理由で運営できなくなったら、誰がどうやって事業を継続したらいいのかはっきりしていなかった。
何かを変える必要があった。結果として、私はウェブサイトのアップデートを迅速に実行するためのコンテンツ管理ツールをつくり、そのおかげで時間に余裕が生まれた。それでもしばらくすると、時間が足りなくなった。急成長していたため、人手を増やさなければならなかった。明らかに、明確なシステムと方法が必要だった。
成長に伴うこうした苦労によって、ベンチャー・ビジネスに乗り出す際には、ふたつのことをしなければならないと学んだ。
① 事業における役割を明確にし、書面ではっきり説明すること。
②テクノロジーを駆使し、重要な作業をシンプルにして自動化するシステムを詳細に計画し、構築すること。
仕事内容を視覚化する
たとえひとりで運営するとしても、事業において人が果たす役割とそれについての予測を、時間をかけて言葉で明確にしておいた方がいい。CEO、CFO、営業部長、事業部長など重要な役職についての職務内容説明書を書いておこう。
最初はひとりでひとつかふたつ、あるいはすべての役割をこなすことになるだろうが、文書にしておくことで、個人ではなく各役割がどのように事業とかかわるかをコンセプトとして明確にできる。前にも少し述べたが、人が出入りしても、事業の継続に必要な役割は出入りしない。
さらに、テクノロジーを利用して、異なる作業をどのように実行するかを視覚化するために、プロセス内のワークフロー(構造を視覚的に表した図)プロセス・マップを作成しよう。こうすることで、どのプロセスで改善できるかを決定し、テクノロジーによってどこで効率化できるかがわかる。
たとえば私の会社では、ソーシャルメディアのキャンペーンの自動化を補助するためのツールをいくつか使用している。「フートスイート」のような強力なツールを使えば、ユーザーはひとつのインターフェースで複数のソーシャルメディアのアカウントを管理できる。メッセージを自動化してくれる機能もあり、ひとりで数十人、数百人分の仕事ができる。
こうしたテクノロジーのおかげで、わが社はさらに効率がよくなり、貴重な時間を節約し、収益を増やせている。
スタートアップ企業だからといって、システムを使わず、行きあたりばったりで運営する必要はない。ある程度組織が混乱するのは避けられないが、それでもシステムを構築し、じっくりと考え、システムを最適化し続けることはできる。そうすれば、前よりも人に依存しなくなる。
あらかじめこうした工程を踏んでおくことで、目標に向かってどんどん進んでいくことができ、会社を築いている気分になれるだろう。
<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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