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小くよ28 まず相手の立場を理解する

配偶者との喧嘩が絶えない。会社の同僚が自分に協力してくれない。あの友人はどうも苦手で付き合いづらい――。

人間関係とは、かくも難しいものですが、「相手が自分のことをわかってくれない」と思うよりも前に、自分が相手を理解することを優先してみると、相手との関係に変化が生じるかもしれません。

2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画として『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。

28日目は「まず相手の立場を理解する」

まず相手の立場を理解する

 これはスティーヴン・コヴィーの『7つの習慣』(邦訳・キングベアー出版刊)の1つを応用した戦略。もっと満ちたりた人に(そして、もっと有能な人に)なるための近道として活用できる。

 基本的に「まず相手の立場を理解する」ことは、自分を相手に理解させるよりも先に、自分が相手を理解することのほうを重視するという意味だ。

 自分と相手のあいだに豊かで内容のあるコミュニケーションを成立させたいのであれば、まず相手のことを理解するにかぎる。どこから来た人か、なにを言いたいのか、彼らがなにを重視しているのかを先にこっちが理解すれば、ほとんど努力せずに自然に相手から理解されるようになる。

 このプロセスを逆にするのは(私たちのほとんどがそうだが)馬の前に荷台をつけるのと同じだ。まず相手に理解されようとやっきになると、自分も相手も圧迫感を覚え、コミュニケーションが滞って2つのエゴのぶつかり合いになってしまう。

 結婚後の10年間、お金のことでケンカばかりしてきた夫婦の相談にのったことがある。夫は妻がなぜ1セントでも多く貯金したがるのか理解できず、妻も夫がなぜ浪費ばかりするのか理解できなかった。彼らの不満は平行線をたどったままだった。

 この夫婦の悩みよりもっと複雑な問題はたくさんあるだろうが、彼らの場合の解決策はかなり単純だった。どちらも相手に理解されていないと感じていたのだ。彼らはまず相手をつつくのをやめて、その言い分をじっくり聞くことを学ぶ必要があった。私は彼らにそうアドバイスした。

 その結果、夫は妻が両親の経済的な破綻(はたん)に心を痛めていたことを知った。彼女は両親の二の舞を演じたくないと思い、貧乏をひどく恐れていたのだ。妻のほうも、夫が「母親を充分に楽しませなかった父親」の二の舞を演じたくない、妻に不満を感じさせたくないと思っていたことを知った。妻が誇れるような夫でありたい、と彼は願っていた。

 二人とも相手を理解することを学ぶにつれ、それぞれの不満は同情に変わっていった。いま、この夫婦は貯蓄と出費のバランスをうまくとって暮らしている。

 まず相手の立場を理解することは、どちらが正しいか白黒をつけることではなく、いかに効率のいいコミュニケーションを成立させるかということなのだ。こっちから理解しようとつとめると、相手は自分の言うことを聞いてもらっている、自分はわかってもらっているんだと感じる。それがよりよい人間関係につながっていく。

<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>


【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。

【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)

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