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小くよ53 グラスはすでに壊れたとみなす

 人、モノ、お金あるいは信頼関係――。自分が大事にしていたものをある日突然失ってしまう、あるいは壊れてしまう場面は、人生誰しも訪れることです。

 もちろん残念に思ったり、後悔したりするのも無理はありません。ですが、それは必然的な流れでもあるのです。

 2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画としてこの名著の新装版『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。

 53日目は「グラスはすでに壊れたとみなす」

グラスはすでに壊れたとみなす

 これは私が20年前に学んだ仏教の教えだ。

 このおかげで、ものごとをあるがままに受けとめるという客観的な見方を身につけることができた。

 この教えの本質は、人生のすべては流転するというところにある。すべてに始まりがあり、終わりがある。木は種から芽を出し、やがて土に還る。すべての岩は形成されては消えていく。いまの世の中でいえば、どの車も機械も衣類も生産されて使い古されていく。すべては時間の問題だ。私たちは生まれ、やがては死ぬ。グラスはいずれ壊れる。

 この教えは心の平和をもたらしてくれる。すべては壊れると思っていれば、そうなったときも驚いたり失望しないですむ。なにかが壊れてもギョッとするかわりに、それをもっていた時間に感謝するようになる。

 いちばん簡単なのは、水を飲むグラスで練習することだろう。お気に入りのグラスを出して、しみじみながめてみる。次に、そのグラスが割れて床に飛び散ったところを想像する。そのとき、すべてのものは崩壊して土に還ることを思い出すようにする。

 もちろん、お気に入りのグラスでもなんでも、壊れてほしいと願う人はいない。これは無気力になるための処方せんではない。ものごとをあるがままに受け入れる練習だ。

 そうすれば「ああ、しまった」と思わずに「ああ、そういうことか」と思うようになる。その自覚があればなにがあっても落ち着いていられるだけでなく、前よりずっと人生の味わいが深くなる。

<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。

【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)

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