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アイデアを出すだけじゃなく、やり抜く人が得る果実

 さまざまなビジネスのアイデア。独立・起業した人も会社に雇われている人も1つや2つは持っているでしょう。

 それが独自のものではなく、誰でも手の届くところにあっても、競合相手よりも成功する可能性を高めることはできます。

 大事なのはそれを実行してやり抜くこと。

 『起業マインド100』より20日連続でお届け。

 3日目は「アイデアの独創性ではなく、アイデアの実行が成功をもたらす」

『起業マインド100』(サンマーク出版)  ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
『起業マインド100』

アイデアの独創性ではなく、アイデアの実行が成功をもたらす

アイデアを出すのは簡単だ。有能と無能を分けるのはアイデアを実行できるかどうかだ。

(スー・グラフトン 作家)

 いい気分に水を差すのは好きではないが、あなたのアイデアは特別ではない。「あなたの」アイデアをもっている起業家や企業は他にもいて、同じように、市場を支配して何百億ドルを稼ごうと目論んでいるだろう。

 そして、そのアイデアが多くの収益を上げる確かなビジネスになるころ、誰かもそのアイデアに資本をつぎ込もうとしていると思ってまちがいない。シリコンバレーでは、模倣する会社をミー・トゥー・カンパニー(me-too Companies)という。

 あなたもご存じだろう。例を挙げると、〈グルーポン〉が評判になると、あらゆる種類のミー・トゥー・カンパニーが現れた。最近のMSNBCドットコムの調査によると、グルーポンと同じビジネスモデルや、そこから派生した企業は600社を超えるという。

 あなたのアイデアが独自のものではなく、そのため誰でも手の届くところにあっても、競合相手よりも成功する可能性を高めることはできる。

 どうやって? アイデアを実行することに集中し、それを他の誰よりもうまくやるのだ。

アイデアより実行

 大学時代、誰もが私と同じアイデアをもっていた。アトランタにある大学の共同体のためにウェブ上にコミュニティーをつくるのだ。私のサイトがかなり人気になったあとでさえ、会う度に私の成功をけなす学生がいた。彼らは次のようなことを言った。

「私にもそのアイデアがあったんだ」。さもなければ、さらりとこう言った。「私もそれをやりたかったんだ」

 彼らの傲慢な態度を私はまともに受けとめなかった。というのも、彼らの言っていることが本当だとわかっていたからだ。私のアイデアは特別ではなかった。それどころか、彼らの発言を心からの賛辞として受け取った。私にはアイデアを実現させる決意があったのを知っていたからだ。でも彼らにはなかった。

 アイデアと実行のあいだには、グランドキャニオンほどのサイズの溝がある。ほとんどの人は、目の前にある巨大な深い穴を目にし、それを越えるのに必要なことをじっくり考えて、行動を起こさない。足がすくむのには無数の理由がある。とてつもなく困難だから。向こう側にたどり着くのに必要な能力が足りないから。未知の恐怖があるからかもしれない。

 どんな理由があるにしても、アイデアを実行に移し、深い峡谷の向こう側にたどり着いたものが勝者だろう。

実行に移すための3つのポイント 

 アイデアを実行に移し、競合相手に対して大きく優位に立つには、次の3つのことに細心の注意を払うことだ。若くして私が成功できたのは、この3つによるところが大きい。
それは、スピード、チーム、倹約だ。

①    組織のスピードが非常に重要

 テクノロジー主導で、ペースが速く、「いますぐにほしい」と言われる現代社会では、組織のスピードが非常に重要だ。注目しなければいけないのは、市場化までの時間を短縮すること。そうすれば、最初に市場における自分の権利を主張し、他の人よりも早く顧客に販売することができる。

 ただし、スピードと品質には繊細なバランスがある。目標とすべきは、顧客が評価する機能的な製品やサービス、ある程度品質の高いものをすぐに発売することだ。〈リンクトイン〉の設立者、リード・ホフマンがこう言っている。「自分の製品の最初のバージョンを恥ずかしいと思わないようなら、売り出すのが遅すぎる」と。言い得て妙だ。

 大学時代、私のチームは自分たちが制作したソフトウェアに完全に満足することはなかったが、すぐに顧客に使ってもらう必要があると理解していた。アップグレードしたり改良したりする時間はあとでいくらでもあるのだから。

②    他のどんなチームよりもよく働くチームを作る

 ありふれたアドバイスだが、このことは強調しすぎることはない。チームの力学が成功を左右する。あなたのアイデアに共感する、優秀でひたむきな人材だけを採用しよう。同じように、株や会社の方向性をめぐって組織を弱体化させるような代理人も避けよう。

 ハーバード大学の教授、ノーム・ワッサーマンは自著『起業家はどこで選択を誤るのか──スタートアップが必ず陥る9つのジレンマ』(英治出版)の中で、会社を始めた起業家がよく経験する問題について調査している。ワッサーマンはチームの力学とメンバー内で起こる株式の分割について学術的な調査を披露している。

 その広範囲にわたる調査によると、チームを適切に機能させないと、成功の可能性が大きく下がるのだという。

③    賢いスタートアップ企業は倹約する

 費用のせいで、会社がアイデアを実行に移せないことは頻繁にある。リソースを節約して適切に使える会社にはかなりのアドバンテージがある。

 若い起業家として、私たちのチームはすべてに対して草の根的なアプローチをとることにした。たとえば、私たちは製品開発のために無料のオープンソースのテクノロジーを使用した。同様に、大学の人脈を利用して、私たちのウェブサイトを宣伝するチラシを何千枚も印刷した。アイデアを実現するのにかかる費用を、会社としてはかぎりなくゼロに近づけた。

 お金が入ってくるようになっても、私たちは節約精神で運営を続けた。その結果、成長するためにどうしてもお金が必要なときには、それだけのお金があったので、すぐに動くことができた。

アイデアは効率的に実行に移せ

 起業家のイメージは、アイデアを生み出し、夢を追いかける理想主義者だと一般的に考えられている。

 しかし、この偏った見方のせいで、同じように重要な、起業家が確固たる意志で実行する面が見落とされる。

 もしアイデアの価値に頼りすぎて、効率よく実行に移すことが抜け落ちているのなら、トラブルに向かって一直線だ。きっと大学で私の成功をけなし、こう言った人たちのようになるだろう。「私にもそのアイデアがあったんだ」

<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock

【著者】
ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家

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