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小学5年生からの中学受験志望校選び「SAPIX流」のヒント

 子どもの中学受験を考えている親子にとって、子どもに合った学校をどう選ぶかは重要な検討事項の一つ。

 教育・学習ライターの小川晶子さんは、大手中学受験塾のSAPIX(サピックス)小学部に取材してまとめた著書『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』で、「小学5年生の時期に第一志望の方向性ぐらいは決めておきたいところ」と解説しています。

 子供に合った学校の選び方のヒントを本書よりお届けします。

『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』 サンマーク出版
『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』

優先事項を設定して志望校を絞り込む

 子ども自身が「この学校に行きたい」と関心を持てる学校を見つけるには、文化祭に行く、説明会で話を聞くなど、何かしら直接学校に触れる機会が必要です。

 でも、残念ながらすべての中学校を見学することは難しいですね。ある程度親が候補を絞ったうえで、実際に見学する学校を選ぶのが現実的です。

 選ぶ要素をまとめてみると、次のようなものが考えられます。

●私立か国立か公立中高一貫校か
●進学校か附属校か
●共学か男女別学か
●宗教色があるか否か
●教育内容はどうか(理系教育、グローバル教育、情操教育など)
●校風はどうか(自由、厳格など)
●環境はどうか
●通学しやすいか
●やりたい部活や行事はあるか

 これらの要素の中から「これは外せない」というものを一つか二つ決め、まずはそこから選んでいくのをおすすめします。

 当たり前ですが、万能な学校はありません。

「通学しやすく、進学実績が高く、運動部が強く、自由な校風で面倒見がよく、緑豊かな共学校」という理想があったとしても、その基準をすべて満たす学校を見つけるのは難しいでしょう。逆に、どう選んでいいかわからないという場合も、最初に優先事項を決めておくと選びやすくなります。

偏差値が意味する本当のところ

 多くの場合、「偏差値」は学校選びの一つの基準になっています。

 一般的に、「偏差値が高い学校」=「よい学校」と認識されることが多いのですが、偏差値が高くなる主な要因は次の通りです。

① その学校の人気が高いため、偏差値が高い
②募集定員の数が少なく、競争が熾烈(しれつ)になるので偏差値が高い
③競合校が少ない日程で、力のある受験生が多く集まるため偏差値が高い

 このように見ていくと、「偏差値が高い学校」=「よい学校」というのは、半分正解で半分不正解だとわかるはずです。

 偏差値が高くなる要因は一つではなく、②や③のような、学校の中身に対する評価とは直接関係ない要素も絡みます。

 ただ、①で挙げた通り、人気の高い学校ほど偏差値が高くなりやすいのは事実です。人気が高いということは、その学校に魅力あるポイントが多いということです。

「人気の高い」学校がわが子に合うとは限らない

 しかし、人気の高い学校が必ずしもわが子に合うとは限りません。レストランを例に挙げれば、人気ランキング上位ではないが、自分のお気に入りの店があったりしますよね。逆に、ランキング上位のお店でも「自分には合わないな……」と思うこともあるでしょう。

 学校選びの場合、「その学校に通う生徒の学力レベル」もポイントの一つになりますので、レストランとまったく同じとはいえませんが、わが子に合うかどうかをその学校の人気度で測ることはできないところは同じです。

 新設校や、設備を新しくした学校、共学化した学校など、話題性が人気の一因になることもありますが、その人気は一時的なものかもしれません。世間の人気動向に惑わされず、子どもに合った学校を選びたいものです。

 ある進学校の校長先生に、「入学してから伸びる子の特徴はありますか?」と聞いたところ、答えは非常にシンプルでした。

「うちの学校のことが大好きな生徒です」

 前向きに通うわけですから当然といえば当然かもしれません。でも、忘れてはいけない視点だと思います。

学校の中身をよく見て、親子で納得いく学校選びをする。

 言葉にするとありきたりですが、6年間通う学校ですから、親子で納得できるよう、慎重に学校選びをしていきましょう。

<本稿は『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅勉強法』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
小川晶子(おがわ・あきこ)
教育・学習ライター、絵本講師

(協力)
SAPIX小学部

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