見出し画像

言語化のうまい人の「メモの取り方」たった1つの真理

 メモを取るとき、何をどう書けば効果的に思考を整理して、その後の言語化に繋げられるでしょうか。その答えはメモに1本の線を書くことにあります。

 元裁判所書記官の佐野雅代さんがシンプルなのに「会議」「企画・アイデア」「知識の習得」すべてに使える裁判所書記官のメモの秘密を解説した『その場で言語化できるメモ』よりお届けします。

『その場で言語化できるメモ』(サンマーク出版) 書影
『その場で言語化できるメモ』

「事実」と「考えや気持ち」を分ける

 「1本線メモ」の書き方をご紹介しましょう。

 言語化の基本は「事実」と「考えや気持ち」を分けること。

 なので、書き方についても、難しいことは何もありません。

 左側に「客観的な事実(他人の意見も含む)」、右側に「自分の考えや気持ち」を書く。

 具体的な使い方については、『その場で言語化できるメモ』の第2章以降で詳しく説明していますが、書き方のポイントは基本的にこの1点だけです。

 これは、私が裁判所で学んだ「事実と判断を分ける」というシンプルな考え方をもとにしています。仕事上たまたま身についた思考法ですが、今ではこれこそが、「言語化」の基本だと思っています。

 というのも、コミュニケーションの場で求められるのは、たいてい「事実」か、事実をもとにした「自分の考えや気持ち」だからです。気の利いた言葉が求められる場面は、日常の仕事や生活ではあまりないはずです。それなら、「事実」と「考えや気持ち」が書いてあれば、それでもう十分です。 

以前の私もそうでしたが、うまく言葉が出ないというのは、頭の中で「事実」や「自分の考えや気持ち」が絡まってごちゃごちゃしている状態だといえます。その中から、とりあえず「事実」を分けて書き出そうと意識するだけでも、状況を客観的に見ることができるようになるはずです。そこから、事実でもなく他人の意見でもない、自分自身の本当の考えや気持ちが見えてくるようになります。

 最初は分けるのが難しかったり、「自分の考えや気持ち」が何も見えてこない、ということもあるかもしれません。でも、まずは頭の中を「見える化」することが大事ですので、あまり厳密に考えずに書いてみてください。分けることが考えることの「第一歩」ですから、そこから情報を整理して、だんだんと自分の想いを言葉にしていけばよいのです。

どんな紙やペンを使ったらいい?

 よく「どんなノートを使えばいいですか」と聞かれることがありますが、1本線メモ術には、専用のノートや特別なルールなどは特にありません。

 ノートでもコピー用紙でも、なんならチラシの裏でも、基本的にどんなものでもかまいません。あなた自身が使いやすいと思うものを選んでください。

 ご参考までに、私が一番よく使うのは、A4サイズのコピー用紙です。A4くらいの広さがあったほうが、思いついたことをたくさん書けますし、あとから情報を一覧できて、考えもまとまりやすくなります。どちらかというと罫線もないほうがより自由な発想で書けますし、情報を書き足しやすいです。目的によって、いろいろ使い分けてみてもよいですね。

 ペンについても、私は特にこだわりはありません。

 しいて言えば、大事なポイントやあとから思いついたことを見やすくするために、2色以上で色分けすることをおすすめします。私自身は、黒、赤、青の3色ボールペンを使うことが多いです。

 このように、道具はほぼあなたの手元にあるものだけで大丈夫です。

「紙を半分に折るだけ」なら簡単

 紙とペンを用意したら、あとは真ん中に線を縦に1本引くだけです。

 線の引き方は、「紙を縦半分に折る」のが一番おすすめです。

 もちろん、定規を使ってもいいですし、フリーハンドでもまったくかまいません。ですが、完全にフリーハンドだと私はうまく引けないことも多く、ちょっと残念な気持ちになって、それだけでテンションが下がってしまいます。とはいえ、定規を使いたくても、そのとき手元にないこともよくあります。

 やはり、素早く気持ちよく線を引くには、半分に折るのが一番です。

 図1−5のメモは会議の例ですが、左には他の人の発言を書いていき、右にはそのとき自分の中から湧いてきた考えや感情、気づきやアイディアなどを、そのつどメモします。うまく言葉にできない場合は、マークをつけたり、質問で掘り下げていきます。

 パッと見て大変と思った方もいるかもしれませんが、書くコツをつかめば誰でもできます。

<本稿は『その場で言語化できるメモ』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 SUNMARK WEB編集部)
Photo by shutterstock

サンマーク出版の公式LINE『本とTREE』にご登録いただくとこの本『その場で言語化できるメモ』の実際と同じレイアウトで目次を含み「プロローグ」「はじめに」「第1章 「1本線を引いてメモする」と何がいいのか」の途中まで冒頭29ページをすべてお読みいただけます。ご登録は無料です。ぜひこの機会に試し読みをお楽しみください!

サンマーク出版が運営する公式LINE「本とTREE」での『その場で言語化できるメモ』の試し読みページはこちら
画像をクリックすると公式LINEの試し読みページにジャンプします

【著者】
佐野雅代(さの・まさよ)
元裁判所書記官。英語発音指導士。
神奈川県出身。上智大学法学部国際関係法学科卒業。裁判所書記官として、横浜地方裁判所の民事部にて年間約2000件の裁判に立ち会い、法廷内でのできごとを調書にまとめる仕事を行なう。「公証官」とも呼ばれる、いわば「国家が認めたメモのプロ」。
また、最高裁判所の秘書課で海外出張のサポート業務などをする中で、企画書やプレゼン資料、会議の議事録、世界各国の裁判所や大学へ提出する依頼文書や履歴書、司法制度に関する調査報告書、お礼状にいたるまで、書記官としての約12年間を通じて様々な種類の文章を作成する。
その後、2人の子育てをする中で、小さいうちから言葉の力を伸ばすことの重要性を実感、夫の大反対を乗り越え裁判所を退職し、一般社団法人国際英語音メンタリング振興会を設立。現在は、「音から言葉の力を伸ばす英語発音指導士」として、歌と絵本で学ぶ発音講座、おうち英語講座、英語の読み書き講座、女性のためのライティング講座などの運営や、講師の育成を行なっている。また、自治体や教育委員会の後援を受けて、親子イベントや保護者・教員向けセミナーなどを開催している。

【参加募集中】サンマーク出版が運営する、本の未来を創造する異業種横断コミュニティBook Lover LABOの詳細はこちら。出版社・書店・著者・読者が集い、本の可能性を広げる仲間と出会いませんか?