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「プロジェクトって失敗しがちだよね…」という疑問の答えを知りたい人へ

「あらゆる規模のプロジェクトが失敗しがちな理由を解き明かす本書はとても説得力がある」――エコノミスト誌

「人間が行うほぼすべての大型プロジェクトが期待通りの成果を挙げられない、驚くべき理由を明確に示す。本書に出会った読者は、それを避けるロードマップが手に入る」――オーラ・ロスリング(『ファクトフルネス』共著者)

「重要、タイムリー、有益で面白い本」――ダニエル・カーネマン(ノーベル賞受賞者・『ファスト&スロー』著者)

 世界の有識者から絶賛され、日本でも有力な経営者・ビジネスパーソンが勧めている本が『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』

 大小問わず、官民問わず、さまざまなプロジェクトのほとんどが「予算」「工期」をオーバーして「便益を得られない」。それはいったいなぜ?どうすれば? オックスフォード大学教授が世界中のメガプロジェクトの膨大な研究から、それを解き明かした本書より冒頭の試し読みをお届けします。


著者:ベント・フリウビヤ
オックスフォード大学教授。世界中の兆円規模のメガプロジェクトを研究、1万件以上の成否データを保有する唯一無二の存在。


『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』

序章〝夢のカリフォルニア〟
──ビッグアイデアの生死の境目

 ビジョンを計画に落とし込み、首尾よく実現させるにはどうしたらいいのだろう?

 まずは物語を1つお聞かせしよう。もしかしたらあなたも、とくにカリフォルニアにお住まいの場合は、聞いたことがあるかもしれない。

 そしてその場合、あなたはツケを払わされている。

ビジョンも資金もあったのに実現しなかった
──どこにも行かない「新幹線」

 2008年、カリフォルニア州の有権者にこんな提案が出された。

 ロサンゼルス中心部のユニオン駅で、しゃれた銀色の列車に乗り込むところを想像してほしい。列車は駅を出ると、大都会の喧噪と果てしない渋滞をよそ目に静かに走り出す。セントラルバレーの広々とした空間に出るとさらに加速し、車窓から見える田園風景はうしろに飛び去って行く。乗務員がコーヒーカップと皿を回収する頃、列車は減速して別の駅に滑り込む。ここはサンフランシスコ中心部だ。

 所要時間は2時間半。平均的なロサンゼルス住民が家から空港まで車を走らせ、セキュリティチェックを受け、飛行機に乗り込み、駐機場で出発を待つまでの時間と変わらない。運賃は86ドルの予定である……。

 このプロジェクトは「カリフォルニア高速鉄道」と名づけられた。世界の二大都市と、その間にあるハイテクの聖地シリコンバレーを結ぶ鉄道だ。「先見的ビジョナリー」とは手垢がつきすぎた言葉だが、この鉄道は正真正銘「先見的」だった。総工費は330億ドル、開業は2020年と決められた1。計画は州全体の住民投票で承認され、工事が始まった。

 着工から14年後の今、プロジェクトの見通しは依然不透明だが、最終結果が公約通りにならないことだけは確かだ。

 有権者の承認を得て沿線各地で建設が始まったが、工事は遅延を重ね、計画は何度となく変更された。コスト見積もりは430億ドルになり、その後680億ドル、770億ドル、そして830億ドル近くに膨張した。これを書いている今、見積もりの最高額は1000億ドルである。だが最終的な総工費がいくらになるかは、誰にもわからない。

 2019年、カリフォルニア州知事は計画の大幅縮小を発表した。全線(約1280キロ)ではなく、セントラルバレーのマーセドとベーカーズフィールド間の約275キロ区間だけを完成させるとし、コストを230億ドルと見積もった。だがこの内陸区間が完成したら、プロジェクトは停止する。再開するかどうか、また再開する場合、路線を延長してロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶために必要な約800億ドル──またはいくらであれ、その時点で見積もられた金額──をどうやって調達するかは、将来の知事次第とした。

 ちなみに、マーセド──ベーカーズフィールド区間の建設コストは、ホンジュラスやアイスランドなど、世界のおよそ100か国のGDPを上回る。しかもその資金は、カリフォルニアの住民しか知らないような2都市を結ぶ、北米最先端の鉄道の建設に使われる。まさに批評家が言うように、「どこにも行かない新幹線」である。

 ビジョンを計画に落とし込み、首尾よく実現させるには、どんな方法を取ればいいのだろう? こんな方法でないことだけは確かだ。

 野心的なビジョンを持つことはすばらしい。カリフォルニアは果敢だった。大きな夢を描いた。だがどんなに莫大な資金があっても、ビジョンだけでは何も成し遂げられない。

8年前倒し、予算内完結の「普通でないビッグプロジェクト」

 今度は別の物語を語ろう。これはほとんど知られていない物語だが、私たちの求める答えのカギがここに隠れているかもしれない。

 1990年代初め、デンマーク政府はある構想を立てた。

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