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小くよ86 口論するときは、まず相手の意見を理解する

 家族や知人、同僚などと口論になった。人生誰しも経験する場面です。

「相手が間違っていて自分が正しい」。そう考えるからこそ口論になっているのですが、まず相手の意見を理解することから始めてみると、流れが変わることもありえます。

 2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画として『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。

 86日目は「口論するときは、まず相手の意見を理解する」

口論するときは、まず相手の意見を理解する

 考えるとおもしろいことだが、だれかと口論したとき、その相手はあなたと同じぐらい自分の意見が正しいと信じているのだ。それでいて私たちはつねに味方する──自分の側に! そこからなにも学びたくないという私たちのエゴのなせるわざだ。この癖は必要のないストレスも増加させる。

 相手の意見をまず理解するというこの戦略を私がはじめてためしたとき、実にすばらしいことが起きたのに気づいた。心が傷つくどころか、相手にもっと親しみを感じることができたのだ。

 たとえば友達がこう言ったとしよう──「革新派(または保守派)が社会悪の根源じゃないかな」。そのとき自動的に自分の立場(どちら派であっても)を弁護するかわりに、なにか新しいことを学べないか考える。

「なぜそう思うのか説明してくれないか」と友達に言ってみよう。相手をやっつけようとの意図からではなく、ただ自分とはちがう見方を知りたいと単純に思うこと。相手のまちがいを指摘するのではなく、充分に言いたいことを話させて満足させる。これは、いい聞き手になる練習だ。

 一般に信じられているのとは逆に、こういう姿勢をとっても弱者にはならない。相手の意見を優先させたからといって、あなたに信念がないとか自分の非を認めたということにはならないのだ。ただ相手の見方を理解しようとしているだけ──まず最初に相手を理解しようとしているのだ。

 自分の正しさをたえず証明するには多大なエネルギーがいる。ところが、相手に正しさを主張させるにはほとんどエネルギーがいらず、むしろエネルギーが増大する。

 相手の立場や意見を理解すると、幾つかのすばらしいことが起きてくる。

 第一に、新しいことが学べる。視野が広がる。第二に、あなたがきちんと聞いていることがわかると、その相手はあなたにたいしてもっと敬意をはらうようになる。相手をさえぎって自分を主張すると、その相手はもっと独断的になったり自己防衛に走ったりする。

 ほとんどの場合、あなたが態度をやわらげれば相手もやわらげる。すぐにそうなるとはかぎらないが、やがて必ずそうなるものだ。相手をまず理解しようとすることは、自分の主張よりも相手にたいする愛と敬意を優先させるという意味だ。これは無償の愛の練習でもある。

 さらに、その相手があなたの意見に耳を傾けるかもしれないという利点もある。相手があなたの意見を聞くかどうかの保証はないが、確実なことが1つある。あなたが耳を傾けなければ、相手もあなたに耳を傾けないということだ。先に相手の意見を聞こうとすることによって、この頑固な輪を断ち切ることができる。

<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。

【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)

『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版) リチャード・カールソン