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「起業にはお金が必要」と思う人に知ってほしい真実

 起業には資金調達が不可欠――。一般的にはそのように考えられているかもしれません。ですが、お金がなくても起業はできます。資金が必要なのはどんなケース?

『起業マインド100』より20日連続でお届け。

 12日目は「お金を稼ぐのに、お金は必要ではない」

『起業マインド100』(サンマーク出版)  ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
『起業マインド100』

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著者:ケヴィン・D・ジョンソン(Kevin D. Johnson)
ジョンソン・メディア社の社長、連続起業家
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お金を稼ぐのに、お金は必要ではない

お金が成功を生むのではない。お金を稼ぐ自由が成功を生むのだ。

(ネルソン・マンデラ 南アフリカの元大統領)

 ビジネスの世界に蔓延する、起業したての人のやる気を損なうたくさんの一般論を耳にすると、私は何よりも苛立つ。あなたも耳にしたことがあるだろう。以下のようなまちがった格言すら聞いたことがあるかもしれない。

「情熱に従え」

「成功するまでごまかせ」

「起業家は生まれるのであって、つくられるものではない」

 だが、新しい起業家に最も害があるのは次の言葉だろう。

「お金を稼ぐにはお金が要る」

 これほどまちがっていて誤解を生むものはない。

 この言葉をいつ、どこで、誰から初めて聞いたのか、私ははっきりとおぼえている。まだ20代だった私はアトランタのダウンタウンで、グラフィックデザインのアトリエを所有する優れた起業家の女性と会っていた。会話の流れは忘れてしまったが、彼女がその12文字の言葉を発したとき、私は戸惑った。私はその格言が正しいかどうかよりも、その言い回しそのものにハッとさせられた。

 その当時、私はすでにほとんどお金をかけず3つの会社を起業していた。彼女の発言はまるで意味がわからなかったし、まちがいなく私にはあてはまらなかった。

起業にお金は要らない

 私の最初の会社では学生向けのウェブサイトをつくったが、まったくお金は要らなかった。むしろ、私の時間とコンピューター・プログラミングのスキルだけが必要だった。起業してからの数年間は、ウェブホスティングとドメインネームにしかお金を使わなかったので、まちがいなくお金はかからなかった。そのコストはだいたい月に30ドルだった。

 二番目の会社ではウェブコンテンツ管理システムの開発をしたけれど、同じようにわずかなコストしかかからなかった。最後に、雑誌を扱った3つ目の会社もまったくお金を必要としなかった。私はただアイデアを思いつくと、できあがる前に雑誌を売りに行った。

 どのビジネスでも、資金調達のことなど考えもしなかったし、それでよかったと思う。もしあのバカげた格言を聞いていたら、資金を調達しなければいけないと考えて、起業するのを遅らせたりやめたりしていたかもしれない。

 そうするのではなく、私は頭を捻った。そして、これが最も重要なことだが、手持ちのリソースを駆使して目標に取り組んだ。

 必要もないのに開業資金を手に入れるのは、実際には成長の妨げになる。助けになるはずのものが悪い結果につながることもある。一例を挙げると、買えなければ、無料で手に入れようとするはずの製品やサービスに浪費してしまうのだ。そのお金はもっと大事なものに使えたかもしれないのに。若い起業家の開業準備費用に、まったく必要ではない事務用品やコンピューターといった備品まで含まれているのを見ると、私はうんざりする。

 こうした人たちには、できるかぎりいつも節約しようという適切な心がまえがない。おそらく彼らは、私が拒絶しようとしている格言を耳にして、その影響を受けたのだろう。

リソースがあれば起業できる

 10年以上ビジネスを続けているので、いまでは例の格言も少し変えれば、特定の状況にはあてはめられるようになった。私ならこんなふうに書きかえる。

「大金を稼ぐにはお金が必要なことも多い」

 私は次の開業資金を調達しているところなので、この解釈が現実味を帯びている。大きなアイデアを迅速に実行に移したいとき、多くの場合、資金の投入が欠かせない。たとえば、ほとんどの人が同意してくれると思うが、資金がないのに原子力発電所を始めようとするのはバカげている。この場合、実際に収益を得る前に、莫大な額をつぎ込まなければならないだろう。それにもかかわらず、大半の起業家は資金を集めずに、そうしたビジネスを始める。

 起業するのにお金が必要だというでたらめを信じないことだ。それは嘘だ。もしそれを真に受けてしまったら、自分の努力が実を結ぶのが遅れたりダメになったりするだろう。そうした一般論をくり返す人は、ただ単に賢くて教養があるように見せようとしているか、自分にお金がないのを正当化しようとしているのだ。

お金がなくてもリソースがないわけではない。何かあるのだから、新しいビジネスを始めるのだ──できればお金をかけずに。

<本稿は『起業マインド100』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
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