「君は運がいいか?」伝説の経営者が採用試験で必ず聞いた意味
「運がいい」「運が悪い」というのは、その人が持って生まれたもので、自分では変えられないと思われがちですが、実はそうではありません。
運を味方にできる人、運をよくする習慣や考え方などについてできるだけ科学的にアプローチした25万部突破のベストセラー『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』より冒頭の試し読みをお届けします。
新版に寄せて
なぜかわからないけど「運のいい人」ってまわりにいませんか?
特別な人には見えないのにいつもうまくいってしまう。傍(はた)から見ていると「ツイている」としか言いようがない。
そんな人を見て「あの人は『運』がいいんだ。『運』のよしあしは自分では変えられないのだから私が『運』に恵まれないのはしかたがない」とあなたは思っていませんか? でも、果たしてそうなのでしょうか?
松下幸之助氏をご存じですか?
世界的企業であるパナソニックの前身・松下電気器具製作所を創業し「経営の神様」と呼ばれています。財産もコネもない裸一貫から始めて小さな町工場を大企業に育て上げたことからも松下幸之助氏は日本でもっとも「運がいい人」のひとりだと言えると思います。その彼が採用試験で必ず最後に聞く質問があったそうです。
それは「君は運がいいか?」というものでした。
そして「はい。運がいいです」と答えた人のみ採用したそうです。
なぜなら、自分のことを「運がいい」と思っている人は少しぐらいの逆境でもあきらめたり、腐ったりせず、真正面から立ち向かい乗り越えてしまうからなのです。「自分は運がいいので絶対大丈夫」と自分を信じているからです。
松下幸之助氏のこの質問からわかるように「運」というものは必ずしも、その人がもともともっていたり生まれつき決まっていたりするものではなく「その人の考え方と行動パターンによって変わる」といえます。
運がいい人には共通した考え方や行動パターンがあるのです。運をよくするための振る舞いがあるのです。運はコントロールできるのです。
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【著者】
中野信子(なかの・のぶこ)
東京都生まれ。脳科学者、医学博士。東日本国際大学特任教授、森美術館理事。2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。著書に『エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』(日経BP)、『脳の闇』(新潮新書)、『サイコパス』(文春新書)、『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)、『毒親』(ポプラ新書)、『フェイク』(小学館新書)など。