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小くよ43 人類学者になってみる

 自分には理解できない行動をとる人と接したり、目にしたりすると、「あの人は間違っていて自分が正しい」と批判めいたことを言ってみたくなったり、イライラしたりするかもしれません。

 しかし、そんな気持ちは抑えて興味を持って見つめていると、不思議と不満も募らなくなるものです。

2月にスタートした「Sunmark Web」の特別企画としてこの名著の新装版『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。

43日目は「人類学者になってみる」

人類学者になってみる

 人類学は人類とその起源についての学問だ。しかし、この本では人類学とは「ほかの人たちの生き方や行動を、批判せず興味をもって見つめること」と定義しなおそう。

 この戦略は、人にたいする思いやりと忍耐力を増すのが目的だ。だが、それ以上に、人の行動に興味をもつのは、批判するかわりに思いやりと理解を示すことでもある。だれかの反応の仕方や感じ方に純粋な好奇心をもつと、それにイライラさせられずにすむ。その意味で、人類学者になるということは他人の行動に不満を感じなくなる手段だ。

 人が奇妙な行動をとったとき、いつものように「あんなことするなんて信じられない」と反応するかわりに、「そうか、あれが彼女(または彼)のものの見方なんだ、おもしろいなあ」と心の中で言う。

 この戦略を身につけるには、まずあなたが純粋な気持ちになる必要がある。「人に興味をもつ」ことと「傲慢になる」ことは紙一重。内心で相手とくらべて自分のほうが上だと考えると傲慢になってしまう。

 最近、7歳になる娘と近くのショッピング・センターに行った。そこにオレンジ色のスパイク・ヘアに入れ墨だらけのパンク・ロッカーたちがたむろしていた。それを見た娘が私に聞いた。

「ダディ、あの人たちはなぜあんなにおしゃれしてるの? あれは衣装なの?」

 数年前なら、私はそんな若者を見て批判めいたことを言ったりイライラさせられたはずだ──彼らはまちがっていて、私はもっと常識がある正しい人間だといわんばかりに。娘の質問にたいしても批判めいた説明を口にしただろう。

 しかし、人類学者のつもりになることで、私はもっと柔軟な見方ができるようになった。私は娘に言った。

「よくわからないけど、人はみんなそれぞれちがうって、おもしろいと思わないかい?」
 すると娘は言った。

「うん、だけどあたしは自分の髪が好き」

 私と娘は、彼らのことを話題にするのをやめて一緒の時間を楽しんで過ごした。

 人の生き方に興味をもつといっても、それを擁護することとはちがう。私はパンク・ロッカーの生き方を選ばないし、人にそれをすすめるつもりもない。しかし同時にそれを批判する立場にもいない。

 人を批判するのはものすごいエネルギーを消費するうえに、楽しく生きるという目標からあなたを遠ざける作用しか果たさない。

<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)


【著者】
リチャード・カールソン(Richard Carlson)
心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。

【訳者】
小沢 瑞穂(おざわ・みずほ)

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