SAPIXが小学3年生までは先取り学習をしない理由
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〈低学年のときに知っておきたいこと〉
先取り学習のメリット・デメリット
低学年のうちから、先取り学習をしているケースは少なくありません。
子ども本人に余裕があり、興味関心のあることを掘り下げていった結果の先取り学習は、力を伸ばす大きなきっかけになることも多いので、何の問題もありません。
一方で、押しつけられた先取り学習には、弊害があります。
その一つは、「知っていることがえらい」と勘違いしてしまうことです。
周りの大人は「5年生でやることなのに、もう知っているなんてすごいね」といった声がけをしがちです。こうやってほめられていると、勉強とは知識を仕入れることだと思ってしまいます。
しかし、ただ知識が多くても勉強ができることにはなりません。学年が上がるほど、知識を使って「考える」ことが必要になります。中学受験は知識だけでは太刀打ちできないのはすでにお話しした通りです。
学校や塾の授業を「もう知っているよ」と思って退屈に感じてしまうのも弊害の一つです。「そんなの知っている」「もうできる」と過信して、基本スキル習得をおろそかにするケースもあります。
ですから、SAPIXでは3年生までは先取り学習をしません。小学校で習う範囲の知識をベースにして、頭を使うような授業にしています。大事なのは、先取りをするかどうかよりも、興味の幅を広げること、自分なりに考える経験を積むこと、そして基本スキルをしっかり習得することです。
〈低学年でやっておきたいこと〉
生活の中で「数量感覚」を身につけよう
生活の中で身につけられるものとして、「数量感覚」があります。
家庭では、次のような場面で「数量感覚」を意識してみてください。
●車や電車に乗るときに速さに注目する
「車は時速40キロメートルだけど、新幹線は時速250キロメートルを超えるんだ」
●料理の手伝いをする際に重さや体積に注目する
「2人分でお砂糖5グラムだけど、4人分だとどのくらい必要かな?」
「1カップは200ミリリットルだけど、4分の3カップは何ミリリットルになるかな?」
●買い物に行く際に「◎割引き」「□%引き」といった割合に注目する
「1000円の商品が2割引きだって。どのくらい安いかな?」
「『定価の90%オフの大セール!』はどのくらい割引になっているのかな?」
●地図を見て長さと縮尺に注目する
「地図の縮尺によって、100メートルの距離が地図上でどのくらい離れて見えるかが変わるよ」
こんなふうに、数に慣れ親しむ機会は探せばたくさんあります。
生活の中で身につけていけるといいですね。
〈低学年でやっておきたいこと〉
読書に親しもう
文章を読んで理解する力は、すべての土台になります。子どもにはぜひ「本が好きな子」になってもらいたいですね。中学受験の国語の問題は、かなり長い文章が出てきます。しかも、普段は読まないような、大人向けの論説文や評論が出題されることもあります。
とはいえ、低学年のうちから難しい本を読む必要はありません。とにかく「本を読むのは楽しい」「読書が好き」と思えることが大事です。名作文学を読んでほしいからと、無理やり読ませようとすれば逆効果になってしまいます。
本人が読みたいと思うものをどんどん読ませてあげてください。図鑑や雑誌でもかまいません。本の世界に入り込む経験になりますし、興味の幅を広げることにもつながります。
親子で同じ本を読み、それについて感想を話し合ったりするのもいいですね。親子で一緒に本を楽しむ経験は、今後の読書の大きな支えになるでしょう。
<本稿は『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅勉強法』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
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