小説『コーヒーが冷めないうちに』100万部へカウントダウン!編集担当池田さんに聞いてみた!後編~BOOK TALK vol.7
Sunmark Web 「BOOK TALK」は、サンマーク出版のPR戦略室で働く新井俊晴と杉本耕亮が、「本の世界」で働く人たちの奮闘記をお届けする対談記事です!
今号は100万部まであと6万部と迫った小説『コーヒーが冷めないうちに』の軌跡について、編集担当の池田るり子さんとお話したことの後編となります。9月に発売となる新刊の見どころもご紹介しております!
↓前編はこちら!
◎世界で500万部!『ONE PIECE』『ドラゴンボール』と肩を並べる人気に…。
杉本耕亮 『コーヒーが冷めないうちに』は海外版もものすごい勢いで売れていますよね!毎月更新されていく部数を聞くたびに驚いています。
池田るり子 そうなんです…。なんと先日、世界でシリーズ500万部を突破しました!
新井俊晴 とんでもないことですよね…。池田さんはよく著者の川口先生と一緒に、海外に「プロモーションツアー」に行ってるけど、ものすごい人気だとか…?
池田 いや、想像以上にすごかったです…。ポーランドでサイン会を行ったときには、サッカースタジアムを会場にしたんですけど、ずらっと長い行列ができていて…。本当に感動しました!
オーストラリアでは、街中のオープンカフェで『コーヒーが冷めないうちに(英題:Before the coffee gets cold)』を読んでいる真っ最中の女性を見かけたので、ついついお声掛けしちゃったんです。「He is Toshikazu Kawaguchi!」って言ったら、驚かれていました(笑)
新井 それは驚く…(笑)
池田 ですよね(笑)喜んでいただけたのでよかったです!
あと大きなニュースとして、昨年イギリスで「いちばん読まれている翻訳書の著者」というランキングが発表されたんです。
小説はもちろんですが、マンガも対象となるので、日本人ですと村上春樹さんや『ONE PIECE』の尾田栄一郎さん、『ドラゴンボール』の鳥山明さんとか、『ベルセルク』の三浦建太郎さんも入っているようなランキングで…。
そのなかで、『コーヒーが冷めないうちに』の著者・川口さんが2位になっていたんですよ!
杉本 この錚々たるメンバーのなかで2位とは…。偉業ですね!
池田 イギリス版は既にシリーズ100万部を突破していて、アメリカ版も100万部目前なんです。こんなに世界に愛される作品になるなんて、あのとき「編集者特権」をつかってよかったって思います…(笑)
◎最新作『愛しさに気づかぬうちに』は「すれちがい」の話
新井 最新作の『愛しさに気づかぬうちに』が、9月下旬にいよいよ発売となりますね。これからいろいろ聞かれることもあると思いますが、今作の見どころを教えてもらってもいいですか?
池田 じゃあ、ネタバレにならない程度に…(笑)川口先生は各作品ごとにテーマを変えて書いてくださるんですけど、この『愛しさに気づかぬうちに』を読んでわたしが感じたテーマは、「すれ違い」だなと思いました。
新井 なるほど、すれ違い…。
池田 そうです。「いつか謝れるかな」とか「ありがとうって伝えなきゃ」とか思っていることって、みなさんありますよね。その「いつか」って自分が動かないとこないんですよ。
とくに「大事」とか「特別」って思っている人には、なんとなく見ないふりをしてしまって。そうして過ごしているうちに、いつかその関係に終わりがきてしまうんです。そこってすごく人間らしいなって思うんですけど、今作ではその機微のところを書いてくださっています。
本当にみなさんに「自分の物語」だなって思っていただけるような作品になりました!
新井 もう読みたくなりました(笑)うわさで聞いたんですけど、そんな作品のテーマが本のデザインにもこめられているとか?
池田 はい!こちらが本のデザインです!
池田 『コーヒー』シリーズのデザインはすべて、喫茶店のテーブルとイスをモチーフにしているのですが、今回はイスを2つ置きました。すごく近くにあるのにお互いを向いていないイスが「すれ違い」を表しているんです。
でも、実はそれぞれのテーブルには「花束」と「プレゼント」が置いてあって、お互いに「感謝」や「伝えたい気持ち」があることも表現するようにしました。
杉本 うわ…。この話だけでもう泣けます。
池田 まだ泣かないで(笑)もうすこしこの本の魅力を語らせてください!
◎『コーヒー』シリーズはどの順番で読むべき?
池田 『コーヒー』シリーズって1冊に4話入っている連作小説で、それぞれの話に主役がいるんですけど、全体を通して「時田数(ときたかず)」っていう女の子が主人公になっているんですね。
この主人公である数が「過去に戻りたい人にコーヒーをいれて叶えてあげる」というお話なんですけど、数自身も自分の人生で「大きなこと」があって心を閉ざしてしまうんです。
でも、今作ではそんな数の心が動き出すっていう展開があるんですよ!この「心の変化」っていうのは、すごい読みどころだなと思います。
新井 なるほど。いままでの本を読んでくださった『コーヒー』ファン必見ですね。
池田 ですね。きっと気に入っていただける一冊になると思います。ちなみにですけど、『コーヒー』シリーズの時間の流れって、出版された順番じゃないんですよ。
1作目の『コーヒーが冷めないうちに』が最初で、その7年後に2作目『この嘘がばれないうちに』、さらに7年後に3作目の『思い出が消えないうちに』まではそのとおりなんですけど…。
4作目の『さよならも言えないうちに』と5作目の『やさしさを忘れぬうちに』、最新作の『愛しさに気づかぬうちに』は1作目と2作目の間にあるので『コーヒーが冷めないうちに』を読んだ方でしたら、4作目から最新作まで、どの本を読んでいただいても話がわかるようになっています。
◎書店さんに「喫茶フニクリフニクラ」が出現!?
新井 杉本くん。営業的には、なにか特別な販促物を用意したりするの?
杉本 はい!じつは池田さんが出張に行かれたときの海外の書店さんの写真を見せていただいたんですが、『コーヒー』シリーズの展開がすさまじくって…。日本でも負けないような、目を引くものをつくっていきたいと思っています。
池田 今回わたしもいっしょにつくったのですが、これを書店さんに使っていただけることを想像したらワクワクしました。
杉本 同じ気持ちです!では発表しますね…。
今回、準備したのはこの3つです!
①カフェメニュー風パネル(イーゼル付き)
②コーヒーが冷めないうちに新聞(書店さんで配布用)
③フニクリフニクラ(作中の喫茶店)再現キット
新井 おー!すごい!これはだいぶ気合いはいってるね!
杉本 ちょっとやりすぎましたかね(笑)
池田 ほんとに(笑)でも杉本さんをはじめとして、営業部、PR戦略室、制作部と色んな部署の方々がご意見くださっていいものができました!皆さんに感謝しかないです。こういうものを作る時に「孤独にならない」って本当にありがたくて…。
杉本 確かにそうですよね。今回、原点に立ち返って作品の世界観を店頭でどう表現するか、何があれば書店さんが「これは大きく仕掛けたい」って思ってくださるか、結構悩みましたね。
新井 そういえば、なんか営業部と池田さんで話し合っている回数多かったかも…。
杉本 はい…。時間を奪っちゃってすみません!
池田 いえいえ!第一弾の発刊から9年も経っているにも関わらず、新しい試みをしてくださることが本当にありがたくて…。こうした積み重ねによって多くの読者さんに届いているんだなと実感します。
杉本 最新刊は9月20日以降に全国の書店さんで順次発売予定ですが、大きく仕掛けてくださる書店さんも続々と決まってきておりますので、ぜひ書店さんに行かれた際は探してみてもらえたら嬉しいです!
池田 うれしい…。読者のみなさま、書店のみなさま、『コーヒーが冷めないうちに』シリーズをどうぞよろしくお願いします!
【お知らせ】
BOOK TALKの2人や編集部の池田さんも参加する
本の未来研究所「Book Lover LABO」
が9/1にオープンしました!
詳細は下記リンクよりご覧ください。
https://sunmarkweb.com/n/nfdb87d960b06