小くよ09 相手に花をもたせる
人と話していて、つい自分のことを話してしまう。あるいは逆の立場になったことがある。誰しも身に覚えのある話です。それは「人に注目されたい」という思いにとらわれすぎているのかもしれません。
今月スタートしたサンマーク出版のオウンドメディア「Sunmark Web」の特別企画として、『新版 小さいことにくよくよするな!』が説く格言を100日連続でお届け。
9日目は「相手に花をもたせる」
相手に花をもたせる
気のもちようでふしぎなことが起きる。「自分が、自分が」という思いをすっぱり捨てて人に花をもたせると穏やかな気分になれるのだ。
人に注目されたいという思いがこうじると、つい「私を見て。私は特別。私の話はあなたのよりずっとおもしろい」と心の中で言ってしまう。その心の声は口にこそ出さないまでも、「私の業績はあなたのよりすぐれている」と信じたがっている。
注目されたい、尊敬されたい、特別な存在に思われたいといった私たちのエゴは、しばしば他人を犠牲にしてしまう。
人の話をさえぎったり、一刻も早く自分のことを話したいというエゴは、だれの心にも巣くっている。程度の差こそあれ、残念ながらほとんどの人がそうだ。話に割り込んで自分の話題に変えるのは相手の喜びを奪うと同時に、相手とのあいだに距離をつくる。みんな敗者になってしまう。
こんど人の話を聞く機会があったら、自分のことを口にする癖がないかどうか確かめてみよう。これはけっこう断ち切るのが難しい癖でもあるが、相手に花をもたせるようにつとめると、楽しいだけではなく心がくつろぐ。
話の途中で「ぼくもそうだったよ」とか「今日なにがあったかわかるかい」と言いたい気持ちをぐっと抑えて、「それはすごいね」とか「もっと聞きたいな」と言うだけにする。
相手は楽しいばかりかじっくり話を聞いてくれていると感じ、あなたと競争しなくてもいいんだと気が楽になる。するともっと自信がついて、話はさらにおもしろくなる。あなたもまた自分の番を待っていらだつことなく、ゆったりできるというわけだ。
もちろん、いつも相手をたてるだけではなく、お互いに経験を分かち合って花をもたせ合うことも必要だ。私が言いたいのは、相手から花をもぎとりたいという衝動を抑えることが大切だということだ。
その衝動を抑えると、人から注目されたいという願望は、相手に花をもたせてあげられるという静かな自信にとってかわる。
<本稿は『新版 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
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