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株式投資と一口に言っても「何を狙うか」で変わる投資スタイル主要5選

 歴史的な株高に加えて新NISAのスタート、デフレからインフレへの転換など株式投資を始めやすい条件にある中、初心者がまず知っておくべきことの一つが、投資にはさまざまなスタイルがあるということ。

 複眼経済塾という投資・経済スクールの塾長を務め、1冊で2000ページに及ぶ株式情報誌の定番中の定番『会社四季報』を27年間で108冊全ページ読破する渡部清二さんの新著『そろそろ投資をはじめたい。』によると、それは主に5つに分けられます。本書よりお届けします。

『そろそろ投資をはじめたい。』 サンマーク出版
『そろそろ投資をはじめたい。』

すべての投資家にとって投資スタイルは超重要

 あなたは「どんな株を買いたいか」について考えたことはありますか?

 株式投資で利益を得るためには、さまざまな「投資スタイル」があるのです。

 株価が短期間で大きく値上がりしてほしい。

 資産として長期間保有できる株を知りたい。

 リスクをできるだけ抑えて株を買いたい。

 このように、投資スタイルは多様です。人によってさまざまで、そのスタイルを大事にして投資をするべきでしょう。中には利益を得ることを目的としない投資スタイルもあります。

 例えば、株主優待を楽しみにする優待株、配当を重視する配当株、大企業の株である大型株、トヨタをはじめとする知名度の高い企業の優良株、割安株(バリュー株)、成長株、業績回復株、チャートで判断する株など、多くの投資スタイルがあり、それぞれ何を重視するかで企業のどんなポイントに注目すればいいのかが変わります。

代表的な5つのスタイル

 ところが、株式投資の世界に足を踏み入れたばかりだと、どんな株があるのかがわからない人も多いものです。そこで、有望企業の株を次の代表的な5つに分けて紹介します。

1 中小型成長株
2 業績回復株
3 優良株
4 バリュー株
5 老舗株

1 中小型成長株 株価10倍も狙える企業

 急速な売上高の伸びを期待できる中小企業の株が、中小型成長株です。

大企業のような安定性はないものの、企業や事業の規模、時価総額が小さく、かつ今後の業績の伸びが期待できるからこそ、成長の余地があります。第1章でも触れたように、ソニーやソフトバンクグループなど、今や日本を代表するような大企業に成長した企業も、上場当初は小さな企業でした。多くの10倍株が生まれているのは、この中小型成長株です。

2 業績回復株 V字回復によって株価の上昇が期待できる企業

 赤字、もしくはそれに近い状態から業績が回復する可能性のある企業の株が、業績回復株です。

 経済が落ち込んだあとに出現するので、常に市場に存在するわけではありませんが、コロナ禍の影響から一時的に業績を下げていた企業が2023年以降、業績回復株として注目を集めました。10倍株にはならないまでも株価の伸びが期待できます。

「テンバガー」という言葉を生み出したアメリカの投資家ピーター・リンチも、「中小型成長株、業績回復株を狙うべきだ」と言っています。

3 優良株 強い稼ぐ力を誇るオンリーワン企業

 稼ぐ力が強い企業の株を優良株といいます。

 業績、売上高、利益や経営そのものが安定しており、着実な値上がりが期待できます。また、ポイントは「オンリーワン」であることです。独自の技術を持っているなど、他社が真似できない企業はライバルがいないため、安定的に利益を確保できます。

 業界トップシェアを達成していたり、ニッチ市場の独占をしたりしている企業は優良株に該当します。

4 バリュー株 割安で値上がりが期待できる企業

 株価が割安な株をバリュー株といいます。

「割安」の定義はさまざまあります。自己資本、現金、不動産などの資産の価値と照らし合わせて、それを推し量ります。

 手持ち資産が十分にあるのが特徴で、景気が思わしくない状態に陥った場合でも、値下がりし続けるリスクが少ないのです。あまり成長は期待できませんが、安心して買える点が投資家に評価されています。

5 老舗株 危機を乗り越える力を持った長寿企業

 創業や設立から100年以上経った長寿企業の株を老舗株といいます。

 戦争、バブル崩壊、市場再編など、数多の危機を乗り越えてきた確かな力と実績を持ちます。資産運用のために長く保有したい人に向いています。

「企業30年説」という言葉があります。これは企業の寿命を表す言葉で、実際に2023年の倒産企業の平均寿命は23.1年でした(東京商工リサーチ調べ)。

 老舗株は100年以上が条件というわけではありませんが、企業の平均寿命よりも数倍の年月を生き残ってきた背景は注目に値します。景気に左右されにくい商品やビジネスモデル、変化への適応性など、確かな力を持っています。

<本稿は『そろそろ投資をはじめたい。』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by shutterstock


【著者】
渡部清二(わたなべ・せいじ)
複眼経済塾 代表取締役・塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最終ページまで読む「四季報読破」を開始。25年以上継続しており、2024年秋号の『会社四季報』をもって、計108冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。清泉女子大学にて就職講座を6年担当するなど、投資家以外への教育にも熱心に取り組んでいる。『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)がベストセラーになり、その後著書多数。

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