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「人と違う」はダメ? おかしいのは同調圧力のほう

醜いのは世界のほう。

お金や教育、家事などの身近なことから、政治や環境問題などのグローバルなジャンルにおいて、「日本において常識とは考えられていないこと」が、実は「世界の常識となっていること」は意外と少なくありません。それを知れば日本人の根底にある「価値観の選択肢」を増やすことにつながるはずです。
 
日本には同調圧力があり、多数派の意見に抗いにくい空気があります。でも、それは世界の常識ではありません。

ドイツ在住の日本人実業家であり、世界に精通する人気インスタグラマーが48例に及ぶ世界のシン常識をまとめた初の著書『シン・スタンダード』より一部抜粋、再構成してお届けします。

『シン・スタンダード』(サンマーク出版) 谷口たかひさ
『シン・スタンダード』


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おかしいのはあなたではなく、同調圧力のほう

『ワンダー 君は太陽』という映画をご覧になったことはあるだろうか。

 この映画に登場する主人公の男の子は、遺伝子疾患で、顔が歪んでしまい、周りの子どもたちとは異なった顔だちをしている。

 その障がいが原因で入院していた彼は、5年生から学校に行き始めるのだ。

 初めての学校で彼を待ち受けていたのは、偏見や差別など、いわゆる「いじめ」。

 打ちひしがれた彼は、お父さんにたずねる。

「お父さん、僕は醜い?」

 お父さんはこう答える。
 
「いいや、醜いのは世界のほうさ」

 そして、家族の深い愛情に支えられながら、彼は勇気を振り絞り、次々に学校で行動を開始する。

 そんな彼の姿を見て、一人、また一人と仲間が増え、彼の学校生活は輝き始める。彼の勇気と行動は、周りの人たちの価値観すらも変えてしまうのだ。

「人間の内面の価値には外見で推し量れないものがある」と。

 人の内面の美しさがもし目に見えるようになるなら、美しい人の基準は変わるだろう。

以前、子ども向けのお話会の質問タイムで、小学生の男の子からこんな質問をもらった。

「僕はひねくれているんですが、そんな僕でも『あなたはあなたのままでいい』と谷口さんは思いますか?」

 僕は気になったので聞き返した。

「どうして自分のことをひねくれていると思うの?」

 彼は答えてくれた。

「自分がおかしいと思ったら、人の言うことを聞けないことがあるからです」

ひねくれているどころか、こんなに素直な人がいるだろうか。

ひねくれているのは、彼のほうか、彼のような人に、自分はひねくれていると思わせてしまう世界のほうか。

「たった一人でも反対できる人」を育てる国がある

 僕も、自分がおかしいと思ったら、絶対に従わない子どもだった。「ちゃんと言うことを聞く子は偉い」みたいな価値観も理解ができなかった。

 また、倫理的な理由や、ルールならともかくだ。「どうしてあなただけできないの?」といった発言に表れているような、「人と違うだけで怒られる理由になる」ということが理解不能だった。

 ドイツの教育は、「たった一人でも反対できる人を育てる」ことを目標にしているそうだ。

 確かに協調性は大切だと思う。

 だけど、自分の心がおかしいと叫んでいることにまで、黙従するのは、僕は違うと思う。

 それが、今の社会のこの同調圧力が蔓延する状況を作り出していると思う。

 沈黙は容認。

 あなたの人生はあなたのものだから、自分の心に正直に。

 他人の人生なんかではなく、自分の人生を生きて、それでも一緒にいてくれる人たちと笑い合えるなら、それほど素晴らしい生き方はない。

 大丈夫。あなたはあなたのままでいい。

<本稿は『シン・スタンダード』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

著者の谷口たかひささん

【著者】
谷口たかひさ(たにぐち・たかひさ)
1988年大阪生まれ。日本の大学在学中に留学費用の工面のため10代ながらインターネットビジネス会社を起業し、イギリスのマンチェスター大学へ留学。卒業後、チェーンストアのエリアマネージャー、アフリカのギニアでの学校設立支援、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験。その後、社会の課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機の発信や日本では報道されない世界情勢にまつわる講演を開始。世界中から講演に呼ばれるようになり、日本では1年で515回、全都道府県での講演を達成。2021年には国連総会の司会とスピーチも務めた。趣味は旅と勉強で、訪れた国は約80ヵ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30個以上。

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