「人と違う」はダメ? おかしいのは同調圧力のほう
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おかしいのはあなたではなく、同調圧力のほう
『ワンダー 君は太陽』という映画をご覧になったことはあるだろうか。
この映画に登場する主人公の男の子は、遺伝子疾患で、顔が歪んでしまい、周りの子どもたちとは異なった顔だちをしている。
その障がいが原因で入院していた彼は、5年生から学校に行き始めるのだ。
初めての学校で彼を待ち受けていたのは、偏見や差別など、いわゆる「いじめ」。
打ちひしがれた彼は、お父さんにたずねる。
「お父さん、僕は醜い?」
お父さんはこう答える。
「いいや、醜いのは世界のほうさ」
そして、家族の深い愛情に支えられながら、彼は勇気を振り絞り、次々に学校で行動を開始する。
そんな彼の姿を見て、一人、また一人と仲間が増え、彼の学校生活は輝き始める。彼の勇気と行動は、周りの人たちの価値観すらも変えてしまうのだ。
「人間の内面の価値には外見で推し量れないものがある」と。
人の内面の美しさがもし目に見えるようになるなら、美しい人の基準は変わるだろう。
以前、子ども向けのお話会の質問タイムで、小学生の男の子からこんな質問をもらった。
「僕はひねくれているんですが、そんな僕でも『あなたはあなたのままでいい』と谷口さんは思いますか?」
僕は気になったので聞き返した。
「どうして自分のことをひねくれていると思うの?」
彼は答えてくれた。
「自分がおかしいと思ったら、人の言うことを聞けないことがあるからです」
ひねくれているどころか、こんなに素直な人がいるだろうか。
ひねくれているのは、彼のほうか、彼のような人に、自分はひねくれていると思わせてしまう世界のほうか。
「たった一人でも反対できる人」を育てる国がある
僕も、自分がおかしいと思ったら、絶対に従わない子どもだった。「ちゃんと言うことを聞く子は偉い」みたいな価値観も理解ができなかった。
また、倫理的な理由や、ルールならともかくだ。「どうしてあなただけできないの?」といった発言に表れているような、「人と違うだけで怒られる理由になる」ということが理解不能だった。
ドイツの教育は、「たった一人でも反対できる人を育てる」ことを目標にしているそうだ。
確かに協調性は大切だと思う。
だけど、自分の心がおかしいと叫んでいることにまで、黙従するのは、僕は違うと思う。
それが、今の社会のこの同調圧力が蔓延する状況を作り出していると思う。
沈黙は容認。
あなたの人生はあなたのものだから、自分の心に正直に。
他人の人生なんかではなく、自分の人生を生きて、それでも一緒にいてくれる人たちと笑い合えるなら、それほど素晴らしい生き方はない。
大丈夫。あなたはあなたのままでいい。
<本稿は『シン・スタンダード』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
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