ランニングを続けて痩せられる人と習慣化できない人の決定的な差
「朝と決めたのに続かない」「夜は疲れて走れない」——。やせるために走ろうと思い立ってランニングを始めても、その習慣をなかなか確立できない人がいます。
ただ、「走る時間」にただ1つの正解はありません。フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さんの著書『世界一やせる走り方 新装版』より、その見つけ方と、時間帯別の具体的なコツをご紹介します。
世界一やせるための、走る時間帯とは?
よく聞かれる質問に「何時に走ると、いちばんやせられますか?」というのがあります。
答えは、「あなたが、いちばん続けやすい時間帯」です。時間帯の制約を設けず、自分のライフスタイルに合ったタイミングを見つけるのが「世界一やせる走り方」を継続する秘訣です。
ここで普段の生活を少し振り返ってみましょう。誰もが何かしら、習慣にしていることがあると思います。たとえば朝起きたらまず歯を磨き、洗顔をして、ペットにご飯を用意してからコーヒーを飲む。これが旅先などで致し方なく毎朝・毎晩の行動の順番が変わると、少し気持ち悪く感じませんか?
習慣は自分に〝心地いい順番〟で繰り返されます。心地いいから続き、習慣になるのです。
走ることの習慣化も、洗顔や食事と同じ。「このタイミングで走ると心地いい」と感じる時間帯を見つければ走ることが自然と習慣になり、成果にもつながります。
「お酒を飲むのが大好き」→朝走ることを習慣化
私のクライアントを例に、お話ししましょう。Kさんは、外資系の企業で役職につくキャリアウーマン。ランチの時間も惜しいほど、仕事に忙殺される日々を送っています。それでも運動する時間をつくろうと、スポーツクラブに入会。ところが夜は急なミーティングや食事の誘いが多く「今日こそ行こう!」と固く決心してもキャンセルが続きました。
しかも、お酒を飲むのが大好きな彼女にとって、気の置けない仲間とのおつき合いはストレス発散の貴重な時間です。「お酒をガマンしてまで、スポーツクラブで運動するのは無理」と月謝だけを払い続け、ほとんど通わないまま結局、退会。「やっぱり忙しいから運動は続けられないのよね」と諦めていました。
そこで、改めて彼女の生活パターンを見直すことに。「出勤前に家の近所を走るのはどうでしょう?」と提案すると、「朝はミーティングも入らないので、できるかもしれません」とKさん。次の日から起床直後にランニングウェアに着替え、軽く走った後シャワーを浴び、朝食を摂って出勤という新しい生活サイクルを始めました。
最初こそ「朝早くから走れるかしら」と不安がっていたKさんも、始めてみたら、どうやら気持ちがいい。大好きなお酒をガマンする、せっかく行こうと思っていたスポーツクラブに行けなかった、というストレスから解放され、見事、朝に走ることの習慣化に成功しました!
もちろん、全員がKさんのパターンにハマるわけではありません。「朝走ると、昼間に眠くなっちゃうんだよね」という人は、無理に朝走ってもきっと続かないでしょう。仕事から帰宅後、すぐにランニングウェアに着替え、シャワーを浴びてから夕食にするパターンがハマる人もいれば「それでは眠れなくなってしまう」という人もいます。
朝か夜か、あるいはランチタイムに走るほうがいいのか? もちろん平日は仕事で手いっぱいだから休日に走るほうがストレスにならない、という人もいるでしょう。ライフスタイルは千差万別。自分が走ったときに「100%気持ちいい!」と感じられる時間帯を見つけましょう。
続けられる時間帯が見つかった人は全員、やせることに成功しています。
こうすれば、走ることを習慣化できる
私たちの会社が旅行会社と提携し、年1回開催している『スポーツキャンプ』というイベントがあります。これは1週間前後、国内外のホテルに滞在し、プロのトレーナーたちとともに、さまざまなスポーツにチャレンジする、滞在型のイベントです。内容は年によって若干変わりますが、定番メニューのひとつが毎朝走ること。朝5時半や6時に集まって全員でジョギングをします。そして終わったらシャワーを浴びて、朝食を摂ることを繰り返すのです。
最初は「旅先なのに朝っぱらから走らされるのか……」「ちょっとヤダな〜」という感じで始まります。ところがおもしろいことに、たった1週間この生活を続けるだけで「朝走るなんてとんでもない!」と言っていた人が「朝走らないと気持ち悪くて、朝食も食べられないよ」なんて言うようになるのです。
これは経験したからこそ、わかること。
何が自分に合うかは、試してみなければわかりません。
「出勤前に走るなんて続くはずがない」と思っていても、やってみたら意外とハマるなんてことは、もう本当によくある話です。「自分には無理」と食わず嫌いにならず、まずは思いつくパターンを手当たり次第試してみましょう。そのうちに、あなたにベストな時間帯やタイミングが見つかります。そうなったら、こっちのもの。体は勝手に走ることを欲し、そこから太らない生活が始まります!
以下、これまでダイエットに成功した方々に多かったケースのうち、いくつかのパターンをくわしくご紹介します。ぜひ、試してみてください。
① 起床後・帰宅後
私のクライアントに最も多い成功パターンが、この2つです。特に朝は出勤時間が決まっているため、生活に組み込みやすいのが成功の理由でしょう。
帰宅後すぐに走りに行くのもおすすめです。靴を脱ぎ、テレビをつけて座ったら、あっという間に30分は過ぎてしまいます。ならば玄関に着替えを用意しておく〝座らない習慣〟にスイッチ。サッサと着替えて15〜30分間、走る。これなら自分にとって大切な時間を削るわけではないため、気分よく続けられます。後でお風呂には入るのだから、このスタイルなら汗も流せるし効率もいい。
起床直後に走る場合は、睡眠中に体内の水分が枯渇していることを考え、走る前にコップ1〜2杯の水分を補給すべきです。水分不足の血管内にはドロドロの血液が溜まっています。いきなり走ると血栓もできやすく、脳のう梗こう塞そくや心筋梗塞などの引き金にもなりかねません。特に、喫煙者や中性脂肪の高い人は要注意です。
夜走る場合、就寝直前だと脳が興奮して寝つけなくなることがあります。就寝予定時刻の2〜3時間前までに走り終えれば体も落ち着き、副交感神経が優位になってスムーズに入眠できます。
② ランチタイム
都会で働く男性に多いのが、このパターン。昼休みになったらスーツのまま会社近くのジムに行き、ランニングマシンで30分ほど走る。サッとシャワーを浴び、昼ご飯をおにぎりなどで軽くすませて仕事に戻る。
外出さえなければランチタイムは確実に確保できるので、やはり習慣にしやすいのが利点です。デスクワークなどで一日中、単調な仕事が続く人には、いいリフレッシュにもなるようです。
③ 早めの午後
フリーランスや在宅仕事など、仕事する時間を自分で決められる人に多いのが、早めの夕方、15〜16時に走るパターンです。なぜならこの時間帯は、ランチ後、ひとしきり働いて、ちょうど眠くなる頃合いだから。「集中できないなら、いっそ走ってしまおう」というわけです。目も頭も冴えて、夕方以降の仕事の効率が上がります。
④仕事終わり
時間帯ではなく「その日にやらなければいけない仕事を、すべて終えてから走るのがいちばん気持ちいい」と言う人もいます。私もこのタイプです。後は物事を考える、構想を練るための時間をランニングに充てる人もいます。私も走っているときのほうが頭は回るので、行き詰まったら思いきって走る。
そして浮かんだアイデアを帰宅後、すぐに書き留めています。
<本稿は『世界一やせる走り方 新装版』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by shutterstock
【著者】
中野ジェームズ修一(なかのじぇーむずしゅういち)
米国スポーツ医学会認定運動生理学士、フィジカルトレーナー
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