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やせる目的で走る人が意外と知らない「スピード」の最適解

 気温が下がり始める10月はランニングに適した季節の始まりです。夏場のような熱中症のリスクは下がり、冬場のように寒すぎて走り始めるのに逡巡することもなく、気持ちよく走れます。「走ってやせよう」とランニングに取り組む人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 では、どんなスピードで走るとやせやすいのでしょうか。速ければ速いほどいいわけではありません。『世界一やせる走り方 新装版』の著者でフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは「ゆっくり走るほうがやせる」と指摘します。

『世界一やせる走り方 新装版』

脂肪燃焼に適しているのは“ゆっくり長く走る”

 体を動かすとエネルギーが消費され、そのエネルギーは体内の脂質と糖質から得る。……なんだか難しそうに聞こえますが、ごく簡単に言うと〝体に蓄えた脂肪と食べたものを燃やして運動している〟ということです。

 ごく軽い運動、たとえばウォーキングをすると、脂質と糖質は同じくらいの比率で消費されます。ゆっくり走ってもこの比率は変わりませんが、歩くよりはキツい運動なので消費エネルギーはアップします。

時速6㎞のペースで歩いていたのを時速8㎞で走るようにすれば、消費エネルギーはなんと約2倍に。つまり、より多くの体脂肪を燃やせるのです。「だったら、もっと速く走ればいいのでは」と思われがちですが、スピードを上げすぎたら今度はキツすぎて長時間走ることができません。しかも走るときのエネルギー源は、脂質でなく糖質ばかりが使われるように。

 これが、ゆっくり走るほうがやせる(=体脂肪が落ちる)理由です。

 長く走るほど多くのカロリーを消費できるのだから〝ゆっくり+長く〟走るのが最も高い脂肪燃焼効率が期待できる、というわけです。

 何かの競技を経験した人なら「ジョグやクールダウンのペース」と言えばだいたい伝わりますが、そうでない人からは「ゆっくりのペースがわからない」とよく指摘されます。私がつねづね目安としてお伝えしているのが、先ほどご紹介した時速8㎞。「そう言われても、どうやって測ればいいの?」と不安になった人、ご安心ください。

 スマートフォンをお持ちなら、ランニングのアプリを活用すると誰でも簡単に把握できます。アプリをダウンロードしたら、スマートフォンを携帯して走るだけ。距離や時間、ペースまで測ってくれるので、つねにスピードを確認しながら走れます。慣れてきたら、時速8.5〜9㎞まで上げてもOKです。

 このスピードを感覚的に伝えるとしたら〝走る〟と〝歩く〟の境目。ウォーキングで「これ以上速く歩けない!」という速度まで徐々に上げて、そのスピード感をキープしつつ走りましょう。

 1秒でも早くやせたい、どうせやるなら最高効率で、などと意気込んでハードに体を追い込むと、かえってやせ効率が下がりますし、肝心の意欲だって下がります。いかに運動強度を上げ過ぎずに走りきるかが、効率よく脂肪を燃やすキモと心得ましょう。

〝ゆっくり長く〟を心がける

 時速8㎞のペースで、週2〜3日、3〜5㎞の距離をラクに走れるようになったら、次はどうするか?

 つらくない範囲で多少スピードを上げるもよし、時間をかけて距離を延ばすもよし。あなたが楽しめてモチベーションが上がる範囲でステップアップしましょう。

 同じ30分間走るのでも、1㎞あたり7.5分かかっていた人が6分でラクに走れるようになれば、距離は4㎞から5㎞に延びます。スピードは変わらなくても、週2日、5㎞走っていた人が7㎞走れるようになれば、週3日に相当する距離をクリアできます。もちろん距離が延びたぶん、消費カロリーもアップ。「今日は脂肪をたくさん燃焼したぞ!」という手応えに、ますますやる気も出るはずです。

<本稿は『世界一やせる走り方 新装版』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by shutterstock

【著者】
中野ジェームズ修一(なかのじぇーむずしゅういち)
米国スポーツ医学会認定運動生理学士、フィジカルトレーナー

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