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「まずは21日間」続けられる人こそが大成功の入り口に立てる理由

 仕事でも、家事でも、勉強でもなかなか着手しないでズルズルと先延ばしにしてしまうことはないでしょうか? 逆にやり始めたらどんどん進んでいくことも。

 脳神経外科医で『すぐやる脳』の著者、菅原道仁さんによると、人間の脳はもともとエネルギーを無駄に消費しないようにプログラミングされているそうです。しかし、何かを成し遂げたり、困難を克服したりといった「成功体験」によって脳では「ドーパミン」という快楽物質が出て、それをうまく繰り返すと「やる気」を発動させられます。

 それが本書で詳しく解説している「ドーパミン・コントロール」(「①自己暗示をかける→②スモールステップに分ける→③ドーパミンを分泌させる」という3つを1サイクルとして循環させ、それを繰り返して習慣化する方法)です。では、どれぐらいの期間にわたって繰り返せば、「行動」は「習慣」として定着するのでしょうか。

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『すぐやる脳』 サンマーク出版
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「行動」が「習慣」に変わるまでに必要な日数とは?

 ドーパミン・コントロールの1サイクルを、何度も繰り返すうちに、細分化された小さな目標に日々取り組むことは容易になります。

 ドーパミン・コントロールを行うことが、習慣として定着してくれるからです。

「習慣」には、それほどまでに大きな力があるのです。

 幸福を説いた哲学者、ウィリアム・ジェームズはこう述べています。

「習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」

 イングランドの詩人、ジョン・ドライデンも「はじめは人が習慣をつくり、それから習慣が人をつくる」という言葉を残しています。

 現代経営学の父、ピーター・ドラッカーも、こう教えてくれています。

「成果をあげることは一つの習慣である。習慣的な能力の集積である。そして習慣的な能力は、常に習得に努めることが必要である。習慣的な能力は単純である。(中略)習慣になるまで、いやになるほど反復しなければならない

(『プロフェッショナルの条件』P・F・ドラッカー著/ダイヤモンド社)

 最後の1行の「いやになるほど反復しなければならない」という点が印象に残りますが、いったいどれほど〝反復〟をすれば、習慣化できるのか。

習慣化に必要なのは「21日間」か「66日間」か

 科学的なデータを探ってみましょう。

 人が新しいことを習慣化する期間については、さまざまな実験が行われてきました。現代では、「21日間説(3週間説)」という短いバージョンと「66日間説」というロングバージョンの2つが、定説になっています。

「21日間説」を唱えたのは、マクスウェル・マルツ博士。

 彼は形成外科医の権威であると同時に、臨床心理学の研究者としてつとに有名です。

 1960年に発行されたマルツ博士の著作『Psycho-Cybernetics(サイコ・サイバネティクス)』では、次のような理論が展開されています。

◆通常、心の中でわかるまでの変化をもたらすためには、約21日以上かかる
◆整形手術の後には、彼の新しい顔に慣れるまで、約21日かかる
◆腕や脚が切断された場合、幻肢(まだ腕や脚があるかのような感覚)は約21日間持続する
◆新しい家に住む人は、それが自分の家のように感じるまで、約3週間は住む必要がある

 21世紀になっても、習慣化にまつわる研究は、引き続き行われています。

 2010年、ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士は、習慣化に必要な期間について実験をしています。

 平均27歳(21~45歳)の学生96人を対象に、84日間、1日1回新しい習慣を繰り返し、どのように身につくかを調べました。

 27人は「食べること」(食事に果物を取り入れるなど)、31人は「飲むこと」(ボトル1本の水を飲むなど)、34人は「運動すること」(15分走る、50回腹筋をするなど)、4人は瞑想などを選んだそうです。

 その結果、習慣が身につくまでの平均期間は66日。ただし参加者の間で18~254日と差が大きくありました。

 この実験結果から、平均値である「66日間説」に大きな注目が集まりました。

 とはいえ、習慣化したい内容や、個人の属性により、日数は大きく変わります。

 実際「『食事に果物を取り入れること』を習慣化しようとした被験者に比べ、『運動すること』を習慣化しようとした被験者は、約1.5倍の日数がかかったそうです。

「2日以上は連続で怠けない」ように

 また、ラリー博士の実験では「休みなく続けるほど、習慣化に達するまでの期間が短い」という事実も明らかになっています。

「1日怠けた」という程度では大きな影響はありませんが、「連続して2日以上怠けた」「頻繁に怠けた」という場合、習慣化に遅れが生じています。

 私たちも「2日以上は連続で怠けない」ことを心がけていきましょう。

 本書ではマルツ博士の「21日間説」を、とくに支持したいと思います。

 3週間というスパンは、長すぎず、短すぎず、ちょうどいい期間です。人の心理を考慮した際に、非常に適切な長さであるからです。

 また、複雑な行動を習慣化するのは、誰にとっても非常に大変なことです。

 新しいことを習慣化しようとするとき、まずは「できるだけシンプルなこと」、もしくは「より小さなこと」の習慣化からスタートしてみてください。

 成功体験を積み重ねるうちに、複雑な行動の習慣化も徐々にできるようになっていきます。

 それは遠回りに思えるかもしれません。

 けれども「遠回りすることがいちばんの近道」とイチロー選手も言っています。

 さあ、いよいよドーパミン・コントロールを始めましょう。

 あなたの目標は何でしょうか。かなえたい夢は、どのようなものでしょうか。

 まだ明確ではないという方は、本書を先に読み進めてください。きっとなんらかのヒントが得られるはずです。

 劇作家のゲーテも、次のように私たちを応援してくれています。

「今日始めなかったことが、明日終わることはない」

<本稿は『すぐやる脳』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>
(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by shutterstock


【著者】
菅原道仁(すがわら・みちひと)
脳神経外科医

サンマーク出版の公式LINE『本とTREE』にご登録いただくと実際の本と同じレイアウトで『すぐやる脳』の「序章 脳がそれを拒否する理由」「第1章 ドーパミンこそがすべてを決める」(目次含む49ページ)をすべてお読みいただけます。ご登録は無料です。ぜひこの機会に試し読みをお楽しみください!

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