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会話を絶妙に盛り上げられる人が外さない3つの大原則

「他人と会話するのが苦手」「話をどうやって切り出して、盛り上げていったらいいかわからない」という人は少なくないでしょう。

 大事なのは相手に関心を持って相手の感情を読み取り、段階を踏むこと。齋藤孝さんの著書『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』よりコミュニケーションで大事な3つのことを解説します。

『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』 サンマーク出版
『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』

①「面白いことを言う」より「関心があること」を示す

 何か気の利いたことを言おうとか、印象に残る言葉を残そうとか、コミュニケーションの場では、相手に何を言うかについて、すごく考えると思います。

 でも、会話においては、もっと大事なことがあります。

 それは「関心があること」を示すことです。

 コミュニケーションのベースにあるのは「感情のつながり」です。

 相手と会って、まず、にっこりする。相手が笑ったら、こちらも笑う。相手の話に「へぇ!」と驚いたり、「えっ、そうなんですか!」と反応したりする。相手の感情が動けば、話している人は自分に関心を持ってくれているように感じます。すると、こちらが特に面白い話をしなくても、よい印象を持ってもらえるのです。

「何か面白いことを言わなくては!」と力むのではなく、きちんと反応していくだけでも、相手とよい関係はつくれますよ。

②伝えることは「意味」と「感情」

A 昨日、会社でこんなことがあってさ。……課長、いつも面倒なことばかり言ってきて困るんだ。
B 課長としても立場があるから仕方ないよ。こんなふうに言って返したら?
A (愚痴を聞いてほしかっただけなんだけど……)

 こういうこと、よく起こりますよね。

 自分としてはただ話を聞いてほしかったのに、建設的な返しをもらって、不満に思う。相手から見れば、親切に問題を解決してあげようと思ったのに、何が不満なんだ、と考えてしまうかもしれません。

 確かに、Bの人は「意味」はやりとりしているのです。

 でも、Aの人の「感情」は理解しているでしょうか?

 コミュニケーションとは、意味を正確に伝えることがすべてではないのです。相手の表情を読み取って、この人はこの話題をもう少し続けたいのか、それともほかの話をしたいのかということを逐一判断しながら、次にどっちにいくのか決めることが大事なのです。次に何の話をするかは相手の表情次第なのです。

 しかし、相手の感情を読むことが不得手な場合、「意味」だけでコミュニケーションを続けてしまいがちです。

A 聞いて~、うちの子、こんなバカな失敗をしたんだ。
B え~そうなんだ。ホント、バカだね。
A (そこ、友だちとしてはフォローするところじゃない?)

「そんなことを言われても、わからないし」という人もいるでしょう。

 まず、会話は「意味」だけではない、ということを頭に入れて、相手の表情を見るようにしましょう。

 特に「何であのとき、会話がぎくしゃくしたんだろう?」という疑問を持ったことがある人は、注意してみてください。

 ただし、感情だけでコミュニケーションをすると、言葉の発達していない赤ちゃんや幼児と同じになってしまいます。「意味」と「感情」を車の両輪のようにセットにして考えるのが、大人のコミュニケーションです。

③人間関係には段階がある

 人間関係には「距離感」も大事です。

 まだそんなに親しくないのに、ものすごくなれなれしかったり、急に距離を詰められたりすると、相手から引かれてしまうことだってあります。

 人と関係を構築するまでには三つの段階があります。

第1段階 挨拶をする
「あ、どうも」とか「こんにちは」と働きかけることで、私たちはお互いを認識します。ごく当たり前のようですが、挨拶こそ、すべてのコミュニケーションのはじまりです。挨拶がうまくできないと、なかなか先に進めません。

・第2段階 雑談をする
 人はいわば、様々な情報の集積体です。お互いが持っている様々な情報の中から接点を探し、会話をしていくわけです。

 その中でも、雑談は、「自分」というものを出さなくてもよい会話です。

 というのも雑談は、さして意味がないものだからです。天気の話題であったり、旬の話題だったり。会話というより「お付き合い」の感覚に近いでしょう。

 先ほど、「人格同士で向き合わず、間に話題をはさむ」ことをお話ししましたが、雑談こそ、自分というものを出さなくてもよい会話の筆頭といえます。

・第3段階 雑談の中からもう少しお互いに意味や意義があるような話題に進む
 相談事や情報交換などもう少し踏みこんだ話になります。

 このように、人間関係にも「ホップ・ステップ・ジャンプ」のような段階があることを知っておくと、相手との距離のつかみ方がわかると思います。初対面から親しくなれなくても、それが失敗でもなんでもないことがわかるでしょう。

<本稿は『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>

(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授

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