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ネコの「喉をゴロゴロ鳴らす」と「尻尾を太く膨らませる」は何を意味しているか

 ネコがリラックスしているか、それとも緊張してストレスを感じているか。どこをどう見ればわかるでしょうか。

 ネコ心理学者・高木佐保さんの著書『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』からお届けします。

*前回記事「ネコを外で連れ出すと「飼い主が付いていても」怯えてしまう必然」(9月23日配信)、前々回「ネコにとっての「運動不足とストレス」は人間と同じく大敵だ」(7月6日配信)も併せてお読みください

『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』(サンマーク出版) 書影画像
『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』

ネコのリラックスサインを読み取ろう

 ストレスを受けることなく、ネコがリラックスしているとき、姿勢や表情はどのように変わるのでしょうか。そのときの「リラックスサイン」を覚えて、ネコの気持ちを読み取ってみましょう。

 リラックスしている状態は、自律神経系の副交感神経が優位になっている状態をさします。

 自律神経系とは、自分の意思ではコントロールできない神経で、交感神経と副交感神経があります。副交感神経がリラックス状態と、交感神経が覚醒状態と関連があります。この2つのバランスによって、日々の安定した生活を送れるのです。

 交感神経による体への作用がよくわかる例として、目の前に大きなトラが現れたときを想像してみてください。汗が出て、心臓の鼓動はドキドキと高まりますよね。このとき、目の瞳孔は開いています。

 反対に副交感神経が優位になると、心拍数は減少し、瞳孔が閉じ、胃腸の働きが活発になるなどのリラックスモードになります。

体の姿勢に現れる

 ネコの心拍数は傍(はた)からはわかりませんが、瞳孔の大きさや体の姿勢などからリラックス状態かどうかを推測することができます。

 まずわかりやすいのが、全体的な姿勢でしょう。リラックス状態では、全身が緩みきっています。

 反対に怒っているときや恐怖を感じているときは、体を大きく見せようとしたり、逆に小さく見せようとしたりして体がこわばってしまいます。

 かわいらしい尻尾からも、ネコの状態が推測できます。怒っているときや怖がっているとき、尻尾は棍棒(こんぼう)のように太くなります。自由自在に毛を膨らませて感情を表現するさまは、まるでジブリ映画のキャラクターみたいですね。

 また、「タンタン」と小刻みに動いているときもイライラのサイン。しなやかに尻尾を立てながらユラユラと揺らしているときがリラックスのサインです。

耳は? 目は? ゴロゴロ音は?

 顔周りにも注目してみましょう。

 クルクルと動くかわいい耳からもリラックスサインを読み取れます。20以上の筋肉によって左右それぞれに180度自由自在に動かせる耳。あんなにピョコピョコ動くのは大変かわいらしいですよね。怒っていたり、怖がったりしているとき、耳は後ろに伏せられていわゆる「イカミミ」状態になります。反対にリラックスしているときは、耳はピンと立っていることが多いです。

 目にも注目です。瞳孔が開いておらず、カッと見開いていない状態。これがリラックスしているときの目です。

 時には目を半分閉じてしまっているようなときもあるでしょう。知らない人に対しては、このような目のやりとりをすることは滅多にありません。

 喉をゴロゴロと鳴らす、いわゆる「ゴロゴロ音」もリラックスサインです。これはもともと仔猫が母猫にお乳をねだるときの声ですが、ヒトに対してもこの発声を行います。なかには柔らかい布やクッションをふみふみしながらゴロゴロと言うネコも。この「ふみふみ」も、仔猫が母猫のお乳をせがむときの行動です。このような行動が見られたときは、とってもリラックスしているといってよいでしょう。

 私も調査で初めましてのネコによく会いますが、リラックスサインどころか、緊張から棍棒尻尾になってしまうコも……。飼い主さんの前ではここまで怖がることはあまりないので、もしかしたら自分のネコの棍棒尻尾を見たことがない人もいるかもしれませんね。

<本稿は『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』(サンマーク出版)から一部抜粋して再構成したものです>


(編集:サンマーク出版 Sunmark Web編集部)
Photo by Shutterstock


【著者】
高木佐保(たかぎ・さほ)
麻布大学特別研究員、ネコ心理学者、日本学術振興会特別研究員(SPD)

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